イラストSS

　大きな翼に風を孕んで飛び上がれば足下はすでに光の海。
　色とりどりの宝石を撒き散らしたような輝きはシャイネン・ナハトを祝う人々の灯だ。
　つめたい夜空を泳ぐように飛ぶ銀の竜の頭の上で、小さな小さな少女が声を上げた。
「アル、とてもきれいなよる……まるで、たからもののなかにいるみたいだよ」
　銀の髪と赤い瞳の小人の少女はプレゼントを届ける聖者の赤と白の服を着ていて、それがとてもよく似合っていた。
　彼女を乗せたアルペストゥスは一声応えると、四枚の羽根を大きく羽ばたかせる。
　また一段、星へと近づき視界が広がる。
　足下の灯の一点をリトル・リリーは指さした。
「つぎは、あっちだよ。ぷれぜんとをとどけよう」
　古代竜の巨躯に斜めに掛かった特大リボンの先にはたくさんの贈り物が詰まった大きな袋が結わえてある。たてがみも色とりどりのオーナメントで飾られて、特に輝く角に飾った大きな星はリリーからの贈りもの。

「かがやかんばかりの、このよるに！」
　──グゥルルル！

　プレゼントを抱えた彼らはとても楽しくて、冬の寒さも感じなかった。
　祝福の星が煌き落ちるこの聖夜に、清らかな聖者たちの温かな想いもまた贈り物となって降り注ぐ。

※担当『依』