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久住・舞花の薬師りぃとによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
久住・舞花の薬師りぃとによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
「私は久住舞花――といいます」
久住・舞花(p3p005056)の『自己紹介』は単なる名乗りのようでいて、実は別の意味合いも帯びていた。
「同郷を感じる名付けよな。何処かそんな風情ではあったが」
「やはり、日本人……そう言って分かりますか」
舞花の言葉に死牡丹・梅泉(p3n000087)は「如何にも」と頷く。
窓の外にはしんしんと雪が降り積もっていた。
舞花は美しい。彼女が街を行けば、例えば着飾って出歩こうものならば引く手は全く数多であろう。
しかし、華やぐシャイネン・ナハトの空気に苦笑さえしてみせた彼女は色付く王都から逃れるように幻想北部の寂れた宿場に身を寄せていた。
そんな彼女と目の前の旧知の男――決して親しい友人等ではない――が出会う事となったのは偶然であり、心の何処かで彼女が望んだ結果かも知れなかった。
「まさかわしと呑みたい等とは」
「『酒の肴』に。『普段の貴方』は良い話相手にはならないのです。言葉の一つも交わしてみたくなるものでしょう?」
「主は四、五年と言うたか。成る程、喰らいたくなる才気じゃな」
杯を傾ける梅泉に舞花が強請ったのは彼の剣とルーツの話。
「そうさなぁ」
戦う気が無ければ相応に風流を愛する男なのだ。
月下ならぬ雪花の美人を肴に梅泉はゆるりと語る。
「わしを仕込んだのは悪鬼羅刹の如き剣士(ちちおや)でな。何時か斬ってやろうと思うたが、修行の間に逝きよった。世の中はままならぬものよなあ――」
聖夜の幕間の物語。こんな時間があっても良い。
※担当『YAMIDEITEI』