イラスト詳細
"懺悔室"という鳥籠で。
作者 | うつぼ |
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人物 | ベルナルド=ヴァレンティーノ |
イラスト種別 | 関係者1人+PCピンナップクリスマス2019 |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2019年12月24日 |
イラストSS
●懺悔/祈り
(はぁ、本当に退屈――)
聖夜と言えば教会は忙しい。
外の世界がどれだけ華やごうとも、どれだけその日が特別であろうとも――いや、特別だからこそ。敬虔な人々に『聖女』と称されるアネモネ・バードケージは聖務を、神への奉仕を義務付けられざるを得ない。
毎年、出来得る限り――何とか逃れようとするのだが、狡猾にして奔放な彼女をしても上手くいっていないのが現状だ。
(天義の檻(ケージ)は私をも捕まえた、か)
自嘲気味に口元を歪めてみたとて。今宵もやはり懺悔室に押し込められる事実は変わりなく。アネモネは彼女にとってみれば至極どうでもいい懺悔やら何やらを聞かされては神の許しを与えるという、何ともむず痒い仕事に終始する事となっていた。
そうして何時間が過ぎた後の事だろうか。
西日差し込む教会は、そろそろ懺悔を受ける最後の時間。
訪れた客はこれまでとは全く違っていた。
「……神は全てを赦します。貴方の懺悔を」
何度水を向けてもその相手は一言も言葉を返さなかった。アネモネは聖女だから懺悔に来る人間を急かさない。彼等の口は時に重く、根気を求められるのは初めてではなかったからだ。
(でも、こういうの困るんだけど!?)
そんな彼女でも痺れを切らず程の沈黙の後。
――輝かんばかりの、この夜に。
響いた低い声は目を見開いたアネモネにとって余りに知った音色だった。
「――ベルナルド!」
懺悔室のドアを些か無作法に蹴り開けて。
アネモネが『向こう側』に飛び込んだ時、そこには一枚の絵画だけが残されていた。
「……あの、馬鹿……!」
その少女の肖像は、幼気な笑顔を浮かべていた。
※担当『YAMIDEITEI』