イラストSS

　シャイネンナハトの夜。
　静かなジャズの流れる店内で、ゲオルグ＝レオンハートはグラスを傾け物思いに耽っていた。
　――今日の活動は最高のパフォーマンスだった。
　ダンディ☆プリンスとしての活動を振り返りながら、口の端を吊り上げる。
　そこに、フードを被った男が現れた。
「やあ、待たせたね」
「いや、そうでもないさ」
　フードの男――ショウへと笑いかけるゲオルグ。活動を共にした友人を歓迎する。
　ショウはフードは脱ぎ腰掛けるとお気に入りの一杯を注文する。
「一先ずは乾杯といこうか」
「今日の活動の成功と、そして――」
　二人は杯を掲げ唱和した。
『輝かんばかりのこの夜に』
　互いにグラスに満たされたアルコールを喉へと流し込む。
　言葉は少ない。けれど、それは親しい友人同士だからこそ生まれる、安楽の空間の証拠だ。
　呼び出した羊さんを愛でながらゲオルグはショウに確認する。
「この後の予定は？」
「特にないさ。キミは？」
「しばらくは飲むかな」
「なら、付き合おうか」
　二人は笑みを浮かべて今一度グラスを合わせた。
　静かなジャズと、グラスの中の氷が動く音。そして少しの会話。
　シャイネンナハトのこの夜に、二人はそんな大人の世界を楽しむのだった。

※担当『澤見夜行』