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イラスト詳細

【2019SN】雪が降っても一人

作者 糸巻茜
人物 グドルフ・ボイデル
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2019
納品日 2019年12月24日

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イラストSS

 ドン、と肩がぶつかった。

「キチッと前見て歩きやがれ、バカ野郎があ!」

 恋人同士であろう男女が申し訳なさそうに頭を下げながら、足早に去っていく。

「けっ……浮かれてんじゃねえぞ」

 シャイネン・ナハトに限って、直接的な暴力はご法度である。故に、気に食わない事があっても飲み下す。
 ポケットに手を突っ込んで風を切って歩く男は、僅かばかりの給金をちゃらちゃらと鳴らしていた。
 グドルフに休みは無い。こんな日だって仕事は舞い込むものだ。

 ──去年の今頃は、何をしていたか。
 あいつらと馬鹿をやっていたか。誰かとメシでも食っていたか。随分と遠い記憶に感じる。
 珍しく、男はコートの前を閉めて歩く。吐いた白い息が風に乗って消えた。

「寒ィ」

 額に、冷たい感触がじわりと
 雨か、ついてねえ──と手を軽く伸ばし、空を見上げる。
 
「──雪か」

 幼い頃。妹と親友と一緒に、雪の積もった庭を駆け回った時を思い出した。
 舞う雪を目で追うと、雪は地に落ちると同時に水になって染み込んでいく。
 それと一緒に、楽しかった記憶もするりと消えていく気がした。

「感傷に浸るなんざ──らしくねえな」

 自嘲気味に呟いたグドルフは、石床に滲んでいく淡雪を踏みにじって、また歩き出した。

※担当『りばくる』

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