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むかし、むかしのわたし
むかし、むかしのわたし
イラストSS
十三年前のシャイネン・ナハト。
深緑の国境に近い人里離れた集落。少女はこの集落に移り住んできたばかりで。そんな少女は深緑に来て初めてのシャイネン・ナハトを迎える。
「■■■っ! お誕生日おめでと!」
「ありがとうシュテルン」
その日は大切な■■■の誕生日でもあった。
「■■■、うれしー日?」
「そーだね、シュテルンにも祝ってもらったし、嬉しいよ」
「えへへ! ■■■、大好き!」
「ありがとうシュテルン」
彼ははしゃぐ少女を微笑ましそうに見つめ、彼女の頭を撫でてあげる。それはまるで仲のいい■■のようだった。
──グシャリ
その紅はその音と共に吹き出すように飛び散って。その朱は地面いっぱいに広がり続ける。その音と光景だけが色濃く残って消えて。思考の外で響く悲鳴にすら気づかない程に、その大きな眼に飛び込んで。
「■■■……」
ねぇ、どうして? あの時微笑んでくれたのに。頭を撫でてくれたのに。
あなたが目を覚ますまで、この歌を歌ってあげる。
あなたが目を覚ますまで、私は眠り続けるから。
そっと起こしに来て、そっと抱きしめて
──わたしは、そっとあなたを■■■から……。
※担当『月熾』