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母なりに
母なりに
イラストSS
暖炉の中で薪が弾ける音がした。
シャイネンナハトの日。アルメリアは自宅で読書に勤しむ。
隣には飲み物を。暖かき湯気が、まだ作り立てな事を示していて――
「ア、ルちゃーん!」
「うひゃあああああ!?」
瞬間。背後より何者かに抱きつかれる。
完全に不意打たれた形のアルメリアは思わず本を落として。しかし――この声は――
「お、おおおお母さん!!」
「うっふふふー♪ なぁに読書してるの? 昔から好きだったもんね」
自らの母、ラウラ・イーグルトンであった。
――先の戦いにおいてラウラは操られ、アルメリアと心ならずして戦いを。
渦中はともかく結果は……全て無事に終わり、ラウラも救出。されば。
「ま、全くビックリさせないでよ……! もう飲み物持ってたら大変だったよ……!」
こうしてもう一度談笑しうる事が出来ている訳だ。
この夜に。シャイネンナハトの夜に。
親子揃って愛しき時間を過ごせている。
「――ありがとね、アルちゃん」
なんのお礼だったのか。具体的な事は、言わねども。
「ううん。大丈夫だよ……お母さん」
通じる間柄であれば問題なく。
ラウラはアルメリアの成長を感じて――微笑みを。
暖炉の中で薪が弾ける。テーブルの上に、湯気立つ入れ物が二つ並んで。
彼女らの今宵を――祝福していた。
※担当『茶零四』