イラスト詳細
リゲル=アークライトの朝日奈臣による4人ピンナップクリスマス2019(横)
作者 | 朝日奈臣 |
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人物 | リゲル=アークライト ポテト=アークライト リンツァトルテ・コンフィズリー イル・フロッタ |
イラスト種別 | 4人ピンナップクリスマス2019(サイズアップ) |
納品日 | 2019年12月24日 |
イラストSS
「さあ、次はこっちへいこう!」
金の髪は雪を纏って揺れている。桃色のコートに身を包んだ小さな少女を誰が騎士と呼ぶだろうか。可愛らしい兎のイヤーマフに大きな赤いリボン、リボンを模すように結んだマフラーはポテトが彼女にかけたちょっとしたおまじないだ。
曰く――『リンツァを誘うんだ。めいっぱいおめかししないとな』という事である。
ポテトにとっては嫁ぎ先の国の騎士見習いである少女も、そして振り返れば見れる元不正義と呼ばれた貴族の嫡男――今や期待を背負う新たな世代だろう――は遠い存在だ。自身がこの国の貴族に嫁ぐとなれば失礼ないようにと心がけていたが、どうにもイルは「友達だろう」と貴族社会の常識は通じない。
ほら、今だって。ポテトの腕をぎゅうと掴んで「あっちに行こう」と大きな瞳を煌めかせているではないか。
そんな様子に、ついつい頬が緩む。この聖なる夜にショッピングをしようと誘ってよかったとさえ思わせてくれるからだ。
「ああ、あんまり焦らないでいい。転んでしまうからな?」
「あ、ああ! でも……ほら、あっちが凄いキラキラしているんだ」
うん、と頷いた。綺麗だね、なんて微笑んでくれるイルにポテトもめいっぱいの笑みを返す。
その様子を離れた位置で眺めていたリゲルは「イルは元気だな」とおかしそうに小さく笑った。
「……元気しすぎるのも困りものだと思うんだが」
イルが購入した買い物袋を手に、リンツァトルテは小さく肩を竦める。普段は仏頂面の彼も、今日という日は笑みを浮かべているのだろうか。
「そういう所がイルらしいんじゃないか。天真爛漫とは彼女の事を云うんだろうな?」
「……」
「リンツァ?」
「いや、そうかもしれないな。アイツは貴族のしきたりも、常識も何も通じないからな」
馬鹿にしているのではない。寧ろ、それが喜ばしいとでもいう様にリンツァトルテが呟いた言葉にリゲルは頷いた。
「今日のイル、可愛いだろう?」
「……何を突然」
リゲルの言葉にリンツァトルテが彼を見遣る。晴天のように澄んだ瞳は常よろしく笑みが浮かんでいるのだ。
「しっかりおめかししたらしい。それに――リンツァだって出掛けるのは嫌じゃなかった」
お揃いだと買いそろえた六花をしっかり自身にも着用してくれている。
そうやって冗談めかしたリゲルにリンツァトルテはふいと視線を逸らした後、「置いていかれる」と先へ先へと歩き出したのだった。
※担当GM『夏あかね』