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イラスト詳細

蝕雪

作者 +風
人物 ジェック・アーロン
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2019(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2019年12月24日

11  

イラストSS

 雪、ダ。
 ガスマスクごしに、ジェックは空を見上げた。
 白イ雪。
 廃教会の屋根の上に、一人の少女が座っていた。
 表情は分厚いマスクのせいでわからない。しかし、どこか面白がっているように思われる。
 あたりはずいぶん冷え切っているというのに、少女の服装は薄着だ。細い手足が、使い古された夏用のセーラー服の下から覗いている。その肌は日差しを知らないように、白い。
 少女は、無造作に細い手を伸ばす。ひとひらの雪が、手のひらに舞い降りた。
 ただひんやりとして、溶けるだけの雪。
 純白の雪。
 ジェックのいたかつての世界の大気は、深刻に汚染されていた。有害物質に混じって降り注ぐ雪は、人体にとって危険なものだった。こうして直接触れることなどかなわないくらいに。
 ジェックは息を緩め、銃を傍らに置いた。手のひらを空に向かって伸ばした。
 ちらちらと降ってくるそれは、人体にとって有害なものではない。しみじみと実感する。
 ここは、違う世界だと。かつての世界とは別の世界なのだと。
 ああ、きれいな雪ダ。
 ジェックは力を抜き、背中をがれきに預けてただ空を見上げた。ガスマスクに雪が舞い降りて体温で淡く溶けて消えた。

※担当『布川』

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