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【シャイネンナハト2019】冬の夜のお買い物
【シャイネンナハト2019】冬の夜のお買い物
イラストSS
先程までの雪が嘘のように、満天の星空が瞬いている。
街を歩く人々は、この厳粛な白の街においても忙しなく。大通りは買い物客で賑わっていた。
シャイネンナハトの買い物に、新年の休暇を過ごすために。道行く人々は大きな袋を抱えている。
この通りでは今日を境に休暇に入る店も多く、ちょっとした食材が安く買えると評判だった。喧噪に耳を傾ければ掘り出し物の噂も聞くことが出来る。
こうして天義のフォン・ルーベルグと、幻想のメフ・メフィートを瞬く間に行き来出来るのは、きっと特異運命座標の役得なのであろう。
そんな雑踏の中で耳を揺らして歩くのは蜻蛉だった。
蜻蛉と言えば艶やかな着物姿と云う印象があるが、今夜はカジュアルな装いに身を包んで。きっと買い物には都合が良い。
紙袋から覗くのはいくつかの箱、本場のシュトレンに、シャイネンナハトの飾りと、後は――
ふいの冷たい風に、首元の小さな姫君が目を閉じる。
「さぁ……お買い物済ませたし、はよ家帰ろか」
蜻蛉が小首を傾げるように姫君に頬を寄せると、姫君もくりくりと頭をつけた。
「寒いねぇ、稟ちゃん」
紙袋を抱えながら。蜻蛉はそろそろずりおちそうな姫君を――爪をたてられないよう――良い位置へ戻してやる。
小さな姫君はふぐっと吐息を零した。
「こんだけ寒いと、お星さんも、とっても綺麗やわ……」
まずはローレットの支部へ。
そうしたら、イグルーに、バーに。今年もいくらか約束があったから。
※担当『pipi』