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シャルルの小束すまによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
シャルルの小束すまによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
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黙ってしまえば、酷く静かな夜だった。積まれた白は音を吸収し、空から積もるそれもそっと降り積もる。無音とともに、それは寒さを運んできていた。
聞こえるのはぱちぱちと小さく火が爆ぜる音と、互いの息遣いのみ。
けれど不意に「あっ」とブラウが声を上げた。
「膨らんできましたよ!」
「……本当だ。ボク、初めて見たかも」
ぷくりと膨らみ始めた餅をシャルルが興味深げに見つめる。雪の中は寒いけれど、この餅はとても熱そうだ。
「あ、あれはもうひっくり返して良いんじゃないですか?」
「ん、……どれ?」
あれです、と翼で示すブラウ。そんな彼を落とさないよう抱え直すと潰れた鳴き声が聞こえた。
「あ、ごめんごめん」
「シャルルさぁん……」
「ごめんってば」
腕の力を抜くとブラウが顔を出す。七輪を見直した彼は「早く早く!」と急かした。
「わかったわかった」
「のんびりじゃダメなんですよシャルルさん! 餅はあっという間に──あっほら!」
ブラウが言い募る間に、他の餅も膨れて変形し始める。これには流石のシャルルも慌てた。
「うわ、こんなに? 待って待って」
「だから言ったのにー!!」
束の間賑やかになるかまくらの中。相変わらず外は寒いけれど、今はほんの少しだけ暖かい気がした。
※担当『愁』