イラストSS

　深い宵の色の髪に、美しき黄金の瞳。しんしんと降る雪の中で、紅色の衣――シャイネン・ナハトには『聖サンタクロース』と呼ばれる赤衣の男がプレゼントを配る伝承があるらしい――に身を包んだクラリーチェは『あなた』を待った。
　常のゴシックロリィタとは違う姿。黒い日傘も今日という日は必要ない。聖サンタクロースはそうした格好はしていないからだ。
　黒いローブに身を包み、暖を取るように――それから、プレゼントを背に隠して。
　今か今かと刻を待つ。白い雪の下、約束を胸に『待って居る』彼女は『あなた』に気付いたようにぱっと顔を上げた。
　そこに浮かぶのは満面の笑みだ。喜び孕んだその微笑は一心に『あなた』へと向けられる。
「あ、いらっしゃったのね。『　　』様」
　にんまりと微笑んで、後ろ手に持っていたプレゼントをそっと差し出す。
　空色の箱には紅色のリボンが架けられる。200余年生きたとしても、こうした瞬間は何時だって楽しいのだ。少女のかんばせに喜色を浮かべてクラリーチェはそっと手を差し伸べた。
「あなたのために、とっておきのプレゼントを用意したの。さあ、受け取ってくださいな」

※担当GM『夏あかね』