イラストSS

　薪が燃える音がする。
　暖炉の炎が揺らめいて、伴ってある影は二つ。更にしてその手元は。
「えぇと……こう、こうでしょうか……」
　細かく動き――何か、手編みをしている様だ。
　その主は鈴音である。眼差しを指先に集中。丁寧に動かす様を見せていて。
「ああいいじゃないか。そんな感じだよ、筋がいいねぇ」
　さればソレを覗き込むように――ヨランダが言葉を紡ぐ。
　シャイネンナハトに向けて愛し人へニット帽を送りたいのだそうだ。特別な日に、特別な贈り物を……だが、いやだからこそ心得在りし者に教わりたく鈴音はヨランダへ。
　気に入ってくれるだろうか、上手くいくだろうか。そんな不安もあったのだが――
「そうさね、耳を作りたいんだったらここから……こう動かして」
「……なるほど！　勉強になりますぅ」
　ヨランダは優しく。鈴音は素直に吸収し。
　その在り方が互いに楽しき空間を生み出すのだ。指先が段々と軽やかに。
　思い浮かべるは『彼』の顔。
「ふふっ」
　顎に指を当て、教える形から動きを見守り始めるヨランダの眼差しが。
　鈴音の楽し気な表情を上から覗いていた。
　誰かへの贈り物は緊張よりも幸福を想像しこうあるべきだから。

　ああ――シャイネンナハトに輝きを。

※担当『茶零四』