イラストSS

　軽やかなクラッカーの音が通り一体に鳴り響く。
「びっくりした？」
　恋人たちの驚いた顔を確かめると、いたずらっぽい笑みを浮かべたブルーブラッドは、嵐のように去って行った。
　爆竹をかき鳴らしながら、通りを風のように駆け抜ける。
「おい、どうしてこんなことをするんだ？」
　尋ねられたブルーブラッドは、きょとんとして言った。
「今日はどんなに羽目を外しても許される日。違ったっけ？」
「聞いたことないぞ！」
「まあどっちでもいいか！　思い切り遊ぼうか」
「うわっ」
　どらが投げつけたのはヘビのオモチャで、驚いた顔を見てまた軽やかに笑う。
「こ、こらっ！」
　その表情はとても生き生きとしたもので、心底楽しんでいるのが分かる。
　爆竹も、クラッカーも、ヘビのオモチャも、どれ一つとして危害を加えるようなものではない。辺りは一斉に朗らかな笑い声に包まれた。
　気が付けば、どらの姿はあっという間に消えてしまっていた。
　もしかすると、猫の化身だったのではないだろうか？
　そんなことを噂されているとは知らず、どらはくしゃみを一つした。
（……寒いから早めに帰ろう）
　今年のシャイネン・ナハトは、どらの手により、ずいぶんとにぎやかなものとなっていた。

※担当GM『布川』