イラストSS

　星降る夜は、何時もより特別で。
　商店街に鳴り響くのはよくあるクリスマスソング。シャイネン・ナハトを祝ったという旅人や音楽家たちの作ったこの曲はもはや定番となって居た。
　聞きなれたそれを耳にしながら、暖かなファーのついたコートに身を包んで少女は一人特別な聖夜――シャイネン・ナハト――の街頭に立っていた。
　飾り付けられたショーウィンドウの中ではメッセージを記載したハートの飾りや、雪を積もらせた煉瓦の家を模した菓子に瓶詰めキャンディが並んでいる。
　どれもこれも、この世界の御伽噺の一日を祝うように只、輝かんばかりの星屑を詰め込んでいて。
　暖かな店内ではプレゼントを買い求める客や、この日の記念をと楽し気に眺める人々の姿が目に入る。
　その軒を少し借りて。雪降る街を眺めれば、電球や星の飾りをふんだんに使った街がきらりきらりと商店の灯りを反射している。
　まるで、地上にいながらも星の海に溺れるかのようだとメイメイは顔を上げた。
　ふと、見上げた空には地上に負けないほどのきらめきが溢れていて。
　星は聖夜を祝う様に闇色の空を飾り、今にも手が届きそうなほど眩さを発していて。

　――輝かんばかりの、この夜に。

　この日を祝うように呟かれるその言葉が唇から滑り出た。

※担当GM『夏あかね』