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イラスト詳細

【Scheinen Nacht 2018】星雪を飲み干す/伊砂IL

作者 伊砂
人物 十夜 縁
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2018(サイズアップ)
納品日 2018年12月24日

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イラストSS

●星をみるもの
「聖夜に温泉というのも、風流なものだな」
 雪舞う聖夜のひと時、温泉にて日々の疲れを癒やす縁の姿がそこにあった。
 ゆったりと寛ぎ、どこか気だるそうな目で果ての見えぬ空を眺め、混沌の空に広がる星の瞬きと舞い散る雪を愉しみながらお猪口を一口。
 冬の寒気は星空を際立たせ、より一層美しく奏であげる。その隙間を縫うように、粉雪が踊り、彼の周囲の岩肌を白く染め上げる。
 縁はその光景に笑みを浮かべながら、そのままゆっくりと湯に浮かぶ木桶を手探りで引き寄せ、そして空を見上げたまま徳利から一杯注ぎ終わると、湯と酒の火照りからか深い溜め息をついた。
 ――木桶が浮かぶ湯は見ない。半身以上は浸からない。か弱いおっさんである自らが飲み干すのはこの空に浮かぶ星雪のみで良い。
「輝かんばかりのこの夜に――乾杯」
 誰に言うわけでもなく、縁は一人星空へとお猪口を差し出せば、もう一杯あおり。ふぅとため息をつき翡翠の瞳で天を見上げたその時。突風が温泉の上を駆け抜け、雪が縁へと吹きかかった。
「……ちょっと肩が凝ったかな」
 肩に手を当て、それでも天を見上げるのをやめない縁。それは空が美しいからなのか、それとも湯を見るのを躊躇ってなのか――。
 湯気の立ち上る温泉の片隅で、縁は徳利を手に取ると、再び次の一杯と洒落込むのであった。

 ※担当GM『塩魔法使い』

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