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イラスト詳細

レッド・ミハリル・アストルフォーンの炭酸マカロンによる3人ピンナップクリスマス2018(横)

作者 炭酸マカロン
人物 レッド
ざんげ
善と悪を敷く 天鍵の 女王
イラスト種別 3人ピンナップクリスマス2018(サイズアップ)
納品日 2018年12月24日

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イラストSS

 冬の空は美しい。
 空は冷たい程に澄み渡るから。
 刺さる程の冷気は水晶のように透き通る夜の証明だから。
 宵に白い息が弾む。
「ほら、あれあれー!」
 元気良くレッドの指さした先を刹那の光芒が駆け抜けていく。
 漆黒のキャンバスに糸を引くような星達の姿は、シャイネン・ナハトの時間が作り出す、まったく幻想的な光景そのものだ。
「ふふ……」
 レジーナの薄い唇が微かな笑みの形を刻んでいる。
 空を降り注ぐ流星はまるで祈りのようで、彼女としてもこんな時間は満更でも無い。
「綺麗だわ。あんなにも輝いて、こんなにも降るなんて」
 奇跡の時間を十全と享受出来たのは日頃の行い故か。
 滅多に見られない天体ショーは圧倒するかのように胸の深い所をくすぐってくる。
「……」
 そして、それは天空神殿に棲まう孤独の少女も同じだったのかも知れない。茫とした雰囲気は劇的には変わらず、余人には彼女の考えている事は読み難い。されど、その両手を祈るような形に組んだざんげの表情は気の所為なのか――何時もより僅かばかり揺らいでいるようにも見えていた。
「……」
「ん? どうかしたっすか?」
「星は何処からきて、何処へ行くのでございましょーね」
「さあ、どうでしょうね。今度、機会があったら聞いてみないと」
「あ、それ名案っすね! 聞いてみるっす!」
 ざんげの当を得ない問いにレジーナは肩を竦め、レッドが笑った。
 嗚呼、全くもって瀟洒な冗句だ。
 今この瞬間にも無数に廃滅し、命を燃やす星達が『何を考えているか』なんて地上の誰にも分からない。
 けれど……
「うん。何だか、楽しそうに見えるっす。
 こんな時間があって――良かったっすよ」
「……楽しそう、でごぜーます?」
 レッドの言葉にざんげは少し驚いた顔をした。
 自身の頬にぺたりと手を当てた彼女は、自分がどんな顔をしているのかそれで分かると思ったのだろうか?
 今日ばかりは少しだけ意地悪く笑ったレジーナはこの時間の意味を考えた。
 流れ星と同じように、全ては一瞬の事。
 流れ星と同じように行き着く先は分からない。
 そう、誰にも結局分からないのだ。
 けれど――
(きっと、意味はある筈だわ)
 確信めいた予感は案外的外れでは無い筈だ。
 運命めいてこの混沌に導かれた自分達だからこそ、そんなオカルトこそを信じたくなるではないか。
 星が瞬く。
 また一条、空の涙が滑っては落ちてゆく。
「きれい」と呟いたのは誰だろう?

 ――聖夜の一時は記憶に焼き付くシーンになる。

 ※担当GM『YAMIDEITEI』

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