イラストSS

　シャイネン・ナハト。それは戦いの禁じられた日。
　戦わないのであれば、今は鎧も必要ない。エリシル・ルクレツィア・クラッドは常日頃身につけている鎧や小手を外し、代わりに赤服の聖人のような服と帽子を身につけていた。
　大きくデコルテの開いた服は着慣れない。けれどもその頬が赤く染まっているのは、服装のせいだけではなかった。
「ぬくぬくだねー」
　満面の笑みで見上げてくるのは小人の少女、リトル・リリー。彼女はエリシルの前に立っているのではなく、さりとて彼女の手に乗っているわけでもない。それらよりももっと近くでひょこり、と銀髪が""覗く""──そう、リリーの姿はエリシルの胸の間にあった。
　柔らかなそれに挟まれたリリーが感じるのはふわふわのふかふか、そしてぬくぬくだ。そして好意を持つ相手に限りなく近い場所で、幸せを感じないはずもない。
　エリシルとしてもこんな状況はなかなかなく、気恥ずかしさはどうしてもある。けれど、リリーの幸せそうな笑みを見ていれば今更拒否などできるわけもなくて。
（……喜んでもらえるならいいか）
　なんて思いながら、エリシルも微笑んでみせた。

※担当GM『愁』