イラスト詳細
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イラストSS
天井にはぽっかりと穴が開いて、どんよりとした曇り空が綿毛のような雪を降らせる。
ここは2人だけのパーティ会場。飾り立てたツリーや靴下を準備(ラクガキ)して、シャイネン・ナハトだからご禁制の酒も用意しよう。
「いぐいくん。あのね、これ」
あげる、と差し出されたのは綺麗な、綺麗なお花。差し出してきたのは10歳ほどの少女だ。そう、──いつのまにかいなくなってしまったあの子。大人しい子で、イグイに花や食べ物をくれる良い子。
どうしていなくなってしまったのかと思ったけれど、今ここにいるなら良い。そうして疑問は些細なものとして頭の片隅へ追いやられる。
胡座をかき、片手には酒を。もう片手は膝に座る少女へ回す。日頃持っているシャベルは今、必要になるわけでもない。立っていれば杖代わりにもなろうが、座っているなら適当に置いておけばいい。そう、ツリーにでも立てかけてしまおうか。
そうしてイグイは酒瓶を片手に、表情の見えない少女の頭を見下ろして。
不意に、疑問が生じる。食欲が──捕食欲が出ないのは何故だろう、と。
けれどもやっぱり、この疑問も頭の隅へ追いやられた。それは少女と過ごす夜に、不必要なものだったから。
──これは果たして夢か、現か。
※担当GM『愁』