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亡者の眠る灰夜
亡者の眠る灰夜
イラストSS
それは、ここではないどこかの世界の1日。
雪が降る。しんしんと、しんしんと。
綺麗ではない、雪が降る。
雪は等しく降るけれど、屋根のある場所にいる2人にはかからない。いや──降られない場所にいる。
空から降るものは雨であろうと、雪であろうと有害だ。それに触れるのは既に亡い者。
音もなく降り続ける雪は屋根に溜まり、地面に積もり、寒さに耐えられず地に伏した者たちへ触れる。
世界の降らす雪を、2人はただ見ているしかできない。雪に触れてしまわぬように屋根の下から動かず、その空気を直接吸ってしまわぬようにガスマスクをつけて。
どこかへ隠れているのか、それともこの辺りにはもうジェックと『彼』しかいないのか。少なくともこの場で立っているのは2人きり。
亡骸となった他の者は少しずつ雪へ埋もれていく。
何もかもを害ある白に染め、無に帰してしまうような光景。いつか、ジェックたちもこのように消えていってしまうのだろうか。
誰に問うたとしても答えがないことは知っていた。故に、2人とも言葉なく眺めている。
それはまるで世界が自身に捧ぐ─無音の葬送歌。
※担当GM『愁』
挿絵情報
- 公認設定『World』