イラスト詳細
とある従者と(元)主の秘密のクリスマス2018
とある従者と(元)主の秘密のクリスマス2018
イラストSS
夜──それは生き物の殆どが眠りにつく時間。雪でさえも降り落ちる音を潜める中、2つの影も言の葉を密やかに。
紅茶のカップを持ち上げたアリシア・アンジェ・ネイリヴォームは口元へ近づける。けれども掬われるように手へ触れられ、その動きは思わず途中で止まってしまった。
視線を上げれば、見えるのはネックレスチェーンに通された青い三日月を思わせる指輪。そして紅の──祇龍院・栞の瞳と交錯した。
ねえ、と声をかける栞はどこか妖艶で。
「出身や種族は違えど、また私に仕えてくれるのかしら?」
そう、2人は1度転生している。以前は主従関係であり、どちらもダンピールであった。そのこともあってか、関係も主従というより恋人に近い相手であったのだ。
けれどもアリシアは小さく目を伏せた。
「……申し訳ございません、栞様」
混沌に召喚され、間もない頃からあの『青薔薇の君』が気になっていた。それは今も変わらない。
栞はその答えに婉然と微笑んでみせる。
「あら残念。でも貴女が良ければ何時でも良いのよ?」
アリシアが請えば、栞は何時でも手を差し伸べるのだろう。けれども今はティーカップへ手を伸ばして。
静けさの中、2人のシャイネン・ナハトはまだ終わらない。
※担当GM『愁』