イラスト詳細
クリスマス2018(綾瀬 みゆき絵師様)
イラストSS
冬の夜空は高く澄み渡り、美しい星々が夜のベールに輝きを飾る。
寒い中で珠緒の体にさわるかもと不安だが、それでも一年に一度の聖き夜。この美しい空を見せたかったのだ。
藤野 蛍は冷たい空気に白い吐気をもらしながら見上げた空の美しさにため息をつく。
「きれいですね」
隣で髪の色と同じももいろのケープで暖をとる桜咲 珠緒がため息をつく。
「ボクの世界にもクリスマスっていって、シャイネンナハトみたいなおまつりがあってさ」
珠緒は無言でその先を促す。
「でも違ってて、星にお祈りするのはまた違うお祭りで、でもにてるところもあってね」
自分の説明ベタがにくい。珠緒はキョトンとしている。珠緒の世界にはクリスマスはないと聞いた。お祭り事体が少ない世界なのかも知れない。だから説明がしにくくてしかたないのだ。
「えっと、わかりにくいかな? それでね」
「……なんだかふわっとしていますが、とにかくお祝いである。と」
しどろもどろの蛍の説明でも要点を得て珠緒は理解する。
「そうそう! でね、珠緒さんと一緒にお祝いしたかったんだ。えっと、寒くない? 調子わるくない? ボクのわがままでごめんね」
あたふたと両手を振って弁解する蛍が微笑ましい。
「いいえ、うれしいです」
一生懸命な思いが嬉しくて、すなおにそう答えた。
そんな彼女の背にほうき星が流れていく。
「あ、流れ星! お願いしなきゃ! どこかの誰かの笑顔を守るために、ボクの力が役に立ちますように……」
そういって星に手をのばす蛍。珠緒もそれにならい手をのばす。
しかし願われることはあっても願ったことはなかったのだ。なにも思いつかない。
でもこうやって手を伸ばし願い請われたのだから、やるべきことはわかった。
「叶えましょう、この星空に誓って誰かを守らんとするその手を、この桜咲が守りましょう」
そう、宣誓したら。隣の蛍が目を瞬かせるものだから、おかしくて。珠緒は少し笑った。
※担当GM『鉄瓶ぬめぬめ』