イラストSS

　王都のルミネル広場から東へ向かった場所に高台があった。
　そこは程よく街の明かりが見えてまるで、星の海が揺蕩っているように見える。
　空にはラピスラズリの色が散りばめられて、地上には街の明かりが揺らめいた。
　寒さには慣れているとはいえ、この寒空の中で薄着で出歩こうものなら逆に目立ってしまう。
　あまり厚着にならないように設えた白いケープは上質な布で織られ、赤とピンクのドレスが白い肌によく似合う。
　シャイネン・ナハトの夜だから。普段よりちょっぴりおしゃれをしてみる。

　フェスタは手すりに腰掛けオレンジの瞳を街に向ける。
　暖かな光を灯す家の明かり。その一つ一つに家族が居て大切な人が居る。
　此処に来てから幾度となく戦いに赴いた。自身の力も上昇している事を実感出来る。
　だから、自分もその「明かり」を守ることができただろうかと。少しだけでも構わない。
　この手に出来ることを精一杯やったのなら。きっと、それは笑顔を守れたということ。
「来年も……」
　誰かの大切な人を。世界を守れるように――
　ぐっと拳を握りしめ。

　シャイネン・ナハト限定の雪だるまチョコ付きドーナツをぱくりと頬張った。

　※担当GM『もみじ』