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河津 下呂左衛門の伊砂によるシングルピンナップクリスマス2018(横)
河津 下呂左衛門の伊砂によるシングルピンナップクリスマス2018(横)
イラストSS
夜闇に紛れ、影が踊る。
それは気配を消し、足音をも密やかに。軽やかに家の間を飛び越え、窓や煙突から侵入する。
彼の者が目指すは深い眠りについた子どもの部屋。包装紙で包まれた箱を置いていき、誰にも気づかれることなく脱臭する。
「……ふぅ」
家の中の気配に変化がないことを感じ、河津 下呂左衛門は小さく息をついた。
「最初はまるで盗人のような仕事だと思ったでござるが、まるで義賊にでもなったようで悪い気分ではござらんな」
よいせ、と背負い直す白い袋にはまだ子どもたちへ贈るプレゼントが残っている。月は天頂、早く残りを配らねば。
「さて、次の仕事へ──」
──ワンッ。
その鳴き声に、下呂左衛門はぴたりと動きを止めた。冷たい汗が流れ落ち、背筋が粟立つ。
ゆっくりと振り返れば、そこにいるのは1頭の大型犬。舌を垂らし、へっへっとこちらを見つめるその視線はどういう意味だ。
「ワンワンッ!」
「げろー! お助けー!」
一目散に逃げる下呂左衛門。追いかける犬。
プレゼントが弾みで零れ落ちるがそれどころではない。
(くっ……何故! 拙者は! 犬猫に追いかけられるのでござるかぁぁぁ!!!)
※担当GM『愁』