イラストSS

　キラキラと輝くのは、空の星々だけではない。窓から見える、生活の明かり。あたりに並ぶ、屋台の明かり。飾り付けられた、ツリーの星。それから多分、あなたの笑顔。
　輝ける聖夜の日、エリシアとイージアは、二人で散策に出かけていた。二人が出会ったのは、忘れもしない、サーカス事件の時。一緒の依頼を受けた二人は、それからちょくちょく、一緒に出掛けたり、話をしたりするようになって、今では友人、いや親友と言っても差し支えのない関係になっている。
　今日だって、そうだ。誘ったのはどちらからだっただろうか。いや、きっとそれは重要ではない。もし相手から誘われていなければ、自分から誘っているのは絶対だから。兎に角、二人はいつものように、当たり前に二人で出かけ、当たり前に二人で過ごした。
　クレープを齧りながら、素敵な物で彩られた世界を、二人で歩く。クレープに包まれているものは、二人で違う。違う方がいい。二人で分かち合えるから。
「美味しいですね。こんなにおいしい物は、もしかしたら、初めて食べたかもしれません」
　そう言って、イージアが微笑む。
「ふむ――そうか。そうだな。それに関しては、私も同感だ。……だが、多分、この味は――」
　エリシアはそこまで言って、少し気恥し気に、顔をそむけた。続きを言わなくても、二人にはわかっている。たぶんこの、素敵な甘さは、二人で食べているからこそのものだ。
　キラキラと輝くのは、空の星々だけではない。窓から見える、生活の明かり。あたりに並ぶ、屋台の明かり。飾り付けられた、ツリーの星。それから素敵な、あなたの笑顔。

　※担当GM『洗井落雲』