イラストSS

　和室に金銀砂子に赤モールの飾りつけ。クリスマスツリーと門松が両立し、床の間に置かれるはずの鏡餅が互い棚に置かれ、橙があるべきところに赤い宝玉が置かれている。というか、門松に星飾りがついている時点で異文化コミュニケーションというか文化は流転し本流などないのだ。すべては魔改造され、時空の彼方に爆走していく。
　かろん、かろん、かろん、かろん。
　木の触れ合う乾いた音が重なり合うように続く。
「これ、たのしーい」　
　頭にホワイトサンタ防と破魔矢が刺さり、首からクリスマスベルをぶら下げたお振袖の巡理 リイン(p3p000831)は、お椀によそわれた一口分のそばを飲み込むと、ぱっと笑った。むぐむぐするたび、リンロリンロとベルが鳴る
「はい、じゃんじゃん。というらしいわ」
　割烹着の下にブラックミニスカサンタという、あらゆる殿方の妄想を一緒に煮詰めて無理やり面倒見た『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が、空になった椀に次なるそばを入れる。蓋がされない限り永遠に給仕し続けるのが彼女の使命だ。
　クリスマスと年越しが混沌パワーで習合し、、無限のごちそうと年越しそばの概念が化学反応を起こし、無限のそば振る舞いが年越しのごちそうという概念が爆誕したのだ。
「――――」
頭に鏡餅を乗せられ、首にクリスマスリースをつけられたブラックミニドレスの『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)は、ちゅるんちゅるんと一定のリズムを刻みながらそばを胃の腑に落としている。言葉少なだが、そばが盛り付けられると頬に笑みが浮かぶので、このそば食いイベントを楽しんでいるのはレジーナとリインにバレバレである。
　かろんかろんかろんかろん！　かろん。　かろんかろんかろんかろん！
　リインが四分音符を刻む間にリンネが全音符。
　見る見るうちにリインの脇にお椀が積みあがる。この死神、見かけより胃袋がでかい。お 袮々からキラキラ星が出ている。
「楽しんでもらえているかしら？」
　箸を持つ手をしばし止め、こくこくと二人の死神は頷いた。
　先人はにっこり笑うと、新たな椀を手に取った。
「はい、じゃんじゃん」
　おなか一杯を示す椀蓋が手の届くところにないのにリインもリンネも気づいていない。。
　終わりなきそば振る舞いの夜は、果てもなく続く。

　※担当GM『田奈アガサ』