イラストSS

　カランと、グラスの中で氷が音を立てた。
　口にふくまれたウィスキーのスモーキーフレーバー。
　ナッツやサーディン、ラスクにのせたバターレーズンのヒヤッとした脂のコクと干しブドウの甘みを舌から洗い流していく。
「おや」
　ほてんと肩に頭を預けてきた『手折りの刄』東 政宗(p3p006667)に、『東洋魔術のルシアー』ヴェルンヘル・フォン・ヘンデル(p3p006670)は、小さく声を上げた。
　ヴェルンヘルの膝に前足を乗せているウェルシュ・コーギー・ペンブロークのこむぎは、いつもと少しだけ違う顔のご主人をじっと見ている。
「ふふ……酔われてしまいましたか……?」
　ヴェルンヘルの頬に笑みが浮かぶ。この楽器職人は世話好きでおおらかだ。
　いつになく無防備な政宗は、幾分頭をずらしてヴェルンヘルの顔を見る。
「……ン、ちょっとだけな」
　全部酔いのせいにしても、他ならぬヴェルンヘルなら許してくれるだろう。
　ほろ酔いで頬が幾分熱い。年が半分になったような屈託のない笑顔を浮かべても仕方がないのだ。
　こむぎちゃんが、くすくすと小さな笑いを贈り合う二人に小さく小首をかしげた。

　※担当GM『田奈アガサ』