イラストSS

「シャルル……！　よく来てくれたなぁ……！」
　ヨルムンガンドが満面の笑みで駆け寄ってくる。温かな空気に包まれたシャルルはいくらか──ほんの僅かだが──表情を和らげた。
　部屋は飾り付けがされ、美味しそうな料理も並んでいる。
「シャルル」
　不意に名を呼ばれ、同時に差し出されたのはラッピングされた箱。
「シャルルにプレゼントだ……！」
「ボク、に？」
　目を丸くしたシャルルは、受け取ったそれをしげしげと眺めた。
（一体、何が入ってるんだろう？）
「……開けてみても？」
　頷くヨルムンガンド。シャルルは丁寧に包装紙に手をかける。
（……不安そう？）
　ちら、と見た相手はどこか落ち着かない様子で。けれどその理由は分からなくて、シャルルは手元へ視線を戻した。
　箱から出て来たのは暖かそうな──。
「マフラー、に……薔薇の、」
　自分のことを考えて選んでくれたのかと思えば、胸の奥がふわりと暖かくなる気がして。
「シャルルは花の妖精と聞いたからなぁ……！　この季節は寒いから……苦手だと思ってな？」
　つけてみてくれ、という言葉に促されるまま首へ巻く。その感触に目を細めたシャルルへ、ヨルムンガンドもほっとした表情を浮かべて。

　さあ──シャイネン・ナハトは始まったばかり。

※担当GM『愁』