イラストSS

　恋って一体なんなんだろう？
　素敵だけれど怖くて、苦しいけれど幸せ。
　なんて不思議な感情なのだろう。

「ねぇ、オリヴィアのどこが好きなの？」
　シグルーンの韓藍色と深竹月色の瞳が輝いているのは、何もステンドグラスの反射からだけではない。
　恋を知らぬシグルーンには、それを知った彼の話すことは新鮮というほかない。
「……気がついたら、好きになっていたから、どこがと言われても……俺にはわからないな……。でも、その人が幸せである事を日々願う事がもしかしたら、好きと言う事なのかもしれない」
「そう、やっぱりそうなのね」
　空になったドリンクのストローを弄りながら、ぽつりぽつり呟く礼久の表情は少しばかり緩んでいて、その一方でどこか赤く。
　やや視線を下げているのが照れ隠しのような物だとは誰の目にも明らかだ。
　シグルーンにとっては、知らないが故の好奇心とも言える問いかけに、満更でもなくついつい答えるのは、気恥ずかしさもあるが、嫌ではない。
　いつか、この想いが彼女に伝わるのだろうか。
　あるいはいつか、私にもその想いが分かるのだろうか。
　それは、この優しい一日に語り合うにこれ以上の話題もない――忘れたくない、大切なこと。

　※担当GM『春野紅葉』