PandoraPartyProject

イラスト詳細

未だに名前募集中!

作者 黒筆墨汁
人物 Masha・Merkulov
イラスト種別 一周年記念SS
納品日 2018年09月17日

6 

イラストSS

●まーしゃとよっつのしもべ
 Masha・Merkulov(p3p002245)を知っているか!
 ラブリーな眼帯とキュートな金髪。
 齢三百を超えるとは思えないほどの幼い容姿。
 天下無敵のハーモニア。永遠のセブンティーンである。
 マイブームはゴスロリと侍。自らの称号を『ダークネス †侍† ブレイド』と改名して今日も楽しく生きていた。
「くっくっく、そんな拙者にかかればテリヤキチキンの卵を半額で手に入れることなど赤子の手をひねるようなもの! ……まってなんでそんなひどいことするの。拙者悪魔なの? 赤子手首痛くなっちゃうでござ――ハッ」
 バスケットの中をちらりと見れば金色の卵が五つ。
 うむうむと頷いて、Mashaは後ろを振り返った。
「拙者の旅もここからが折り返し。よっつのしもべたちよ! 点呼ォー!」
 Mashaは四段重ねになった従者(?)を下から順に指さした。
「『†荒野の弾丸†』バルトロメオ!」
「ヴェーイ」
 唇の右端だけを釣り上げてニヒルに笑うクールなロバ。赤いスペードのアイパッチ。
「『†忠剣騎狼†』ジネディーヌ!」
「オン……オン?」
 ここはどこじゃったかのうという顔できょろきょろする犬。赤いクローバーのアイパッチ。
「『†アルヴィトの瞳†』コルネリア!」
「ニャーオ……」
 上品に顎を上げて見せる白猫。黒いダイヤのアイパッチ。
「『†ルースターキング†』ドレニゴワール!」
「コケエエエエエ!!」
 豪快に翼を広げて見せる唐揚げ。じゃなくてニワトリ。黒いハートのアイパッチ。
 四段そろって本家直属精鋭部隊! 名前未だに募集中!
 Mashaはうむうむと頷いて、そして強く瞑目した。
「ここまでの道のりは苦難の連続でござった。地図は風に飛ばされ、アイスやさんの誘惑に負け、森でお花摘んでたら道に迷い、川遊びしていたら流され、雪遊びしていたら転げ落ち、知らないおじさんに声かけられて恐くなり、それでも拙者に託された試練(おつかい)をはたさんとする心が前へと進ませた。ついにこの半額セール卵を手に入れ、お家への旅路を目指す拙者たちは再びあの困難に……」
 とか言ってる間にバルトロメオたちはすたすたと(四段重ねのまま)先へ行っていた。
「あっ、まってー! 拙者置いてかないで! 拙者道わからないでござるからー! ござるからー!」
 バスケットを振り回しながらどたばた走るMasha。
 この先に待ち受ける困難に打ち勝つことができるのだろうか。
 走りながらMashaは拳を握りしめる。
「いやできる。拙者は困難に屈したりなんか――しない!」

「もうだめだー!」
 空白行いっこ挟んだだけでワン泣きするMashaがいた。
 地面にぺたんと座り、頭上には卵入りバスケット。
 そういう噴水かなってくらい涙をばしゃーと噴射していた。
 彼女を取り囲むはモンスターの群れ。
「ククク、俺たちはゴツゴウゴブリン」
「都合良くピンチを演出する幻想のモンスターよ」
「さあ貴様も都合良く犠牲となれ!」
「まってまって拙者まだ遺書かいてないから。ないでござるから!」
 両手を開いて上下に振るMasha。せーので棍棒を掲げていたゴブリンたちはそのまま止まり、互いの顔を見合わせた。
「一理あるな」
「よし、まず遺書をかこう」
「紙とペンあるか」
「やーだー、拙者和紙と墨汁じゃないと書けないー!」
 今度は手をグーにしてばたばたしはじめるMasha。それでも頭上から落ちないバスケット。
「おのれワガママさんめ」
「仕方ない貸してやろう」
「じゃあまずは……なんて書き出しにするんだ?」
「え、『拝啓』とかじゃだめでござるか?」
「お前ほんとに三百年生きてたの?」
「だって思い出せないんじゃものえーと……」

『はいけい おふくろさま。
 せみのおいしい委節となりました。
 わたくしまーしゃはゴブリンさんの毛にかかり命をおとすこととあいなり』

「まてまてまて!」
「拝啓くらい漢字で書けんのか!」
「あと季節が委節になってるぞ!」
「毛にかかりってなんだ、手にかかれ!」
「もー! 叫ぶから字を間違えちゃったでござるぞ!」
「ござるぞってなんだ、口調くらいちゃんとしろ!」
「あと叫ぶ前から間違えまくってるだろ!」
「ええい面倒だ、都合良く囲んで棒で殴ってくれる!」
 もう一回せーので棍棒を振り上げるゴブリンたち。
 万策尽きたーといって頭(とバスケット)を抱えるMasha。
 と、その時!
 地面に四つの手裏剣が突き刺さった。
 ハート、ダイヤ、クローバー、スペードの形をした手裏剣である。
「「そこまでだ!」」
「なに……ッ!?」
 振り返るゴブリンたち。
 都合良くあった切り立つ崖の上から、四つの影が逆光をあびて現われる。
 ダメージジーンズ、裸に黒い革ジャケット。巨大すぎる剣を背負った男が、唇の右端だけを釣り上げてニヒルに笑った。
「荒野の弾丸――バルトロメオ!」
 折り目正しい燕尾服。金色細工のステッキを手に背筋を伸ばす白髪の老人。彼は空のように青い目をうっすらと開いた。
「忠剣騎狼――ジネディーヌ!」
 白いスパンコールドレス。手首には白いファー。首から下がる長いマフラーもまた白いファーに覆われた、上品な美女。彼女は知的なゴールドカラーの目をきらりと光らせた。
「アルヴィトの瞳――コルネリア」
 真っ白い翼を広げた軍服姿。逆立つ真っ赤な頭髪には大きな羽毛の髪飾り。ナイフのように鋭い視線。ベルトから抜いたコンバットナイフを両手に握り、百戦錬磨の傭兵がごとく身構えた。
「ルースターキング――ドレニゴワール!」
「「四人そろって! ――本家直属親衛部隊! 未だに名前募集中!」」
 背後おこる四色煙の爆発。
「本家直属親衛部隊だと!?」
「主を妨げる全てのものを破壊したというフォーカード」
「あふれる魅力と知性にトレーディングカードまで発売されたというブレーメン」
「発売されたトレーディングカードがポテトチップスの袋についていたせいでポテトチップス部分がそのまま捨てられる問題が相次いで販売停止となってという四天王」
「あの眼帯……間違いない! 本物だ!」
 都合良く説明してくれるゴブリンの皆さん。
 えっえっとか言いながらずっときょろきょろしているMasha。
 四人の戦士は『トゥ!』とかいって跳躍すると、ロバブレードやドッグ仕込み杖やキャットマジックや唐揚げカッターでゴブリンたちをばったばった。
「「グワーッ!」」
 残りの尺を配慮して一行でやられてくれたゴブリンたち背に、若本○夫みたいな声で手を差し出すバルトロメオ。
「手強いやつらだったぜェ。Masha、怪我はァないか?」
「チュ、チュチュ……チュ?」
 出した手に、なんだか肉球的なものが見えた。
 Mashaは肉球をまじまじと観察して、ほっぺに手を当てる。
 すげーもちもちしたほっぺだった。
「チュチュ!?」
 都合良く落ちてた鏡へ振り返ると、そこに居たのはアイパッチをしたハムスターであった!

「なんでハムスター! ……ハッ」
 がばっと身体を起こすMasha。
 そこは家のお布団の上。
「なーんだ、夢かー」
 Mashaはにっこり笑って、お布団に戻った。
 枕元で、卵の入ったバスケットが揺れた。

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