Host:浜地庸介
Guest:九重ユカリ

冬至も近い練達。空模様は灰色の
昼でも底冷えするような街角で
一人の男がいた、探し物をする男がいた
片膝をついてあちこちを見ている

周囲の目を引いている
だが誰も声をかけない
男は探し物をしている

偶然、あなたは見かけた

……おや？（広場に顔を出し、その帰り道だろうか。通り過ぎながらもほんのりとざわついた人混みの先を見て、きょとんとして。どうにもお人好しなものだから、その男に近づいて）
……どうしました？　なにか落としてしまったのですか？（隣にしゃがみ込み、首をかしげながら話しかける。一度男に視線を向けてから、男が視線を向ける先を見て）

む……（目立っていたことに気付いておらず、顔だけ横を向いて）
ああ、大事な物を落としてな
小さい物ゆえ、どこに落としたかも分からん
（それは鏡が光を返すように、機械的な応答）

なるほど。大事な……。それは大変ですね。大通りですと、雑踏でものが何処かに蹴飛ばされちゃって無くなってしまったりしますし……。（まるでAIのようだ。と思ったけれど、この混沌の大地、ありとあらゆる人種の集積地となっている場所でいちいち指摘するのも野暮だな、という思考。それよりも、困っている人を助けたくて）

お手伝いしましょうか？　どんな形で……。どんなものでしょう。一人よりも二人のほうが見つかりやすい気がします！（そう言って、ぱっと微笑んでみせる）

（微笑みを無表情でじっと見て、顎に手を当て）
そうだな
手を貸してくれると助かる

（立ち上がり、見下ろす形になる）
朱いお守りで、掌より小さいくらいだ
少し古ぼけているが、日本式のもので、あまり高価なものではない
（抑揚なく）今日までに見つからなければ、それでいい

……ふむ、ふむふむ……。ニホン？　おや、貴方も……。（しゃがんだまま見上げるかたちになる。相手の言葉に、思わずつぶやきが溢れて）

……と。すみません。朱いお守りですね。何処で落としたとかは覚えていますか？　何処を通ったとか（頷いて、視線を通りの方に向ける

（つぶやきは聞こえているが、あまり突っ込もうとせず）
どこで落としたかは分からん、なにせ小さいものだ
ひもが切れているのに先ほど気付いて、今しがた探し始めたところだ

（顎に手を当てて、思い出す）
この辺りを通ったのは覚えている
買い物の途中でな、明るいうちは足でさがしてみようと思っていたところだ

ふむー……。探索系のスキルが私にもあればよかったのですけど……。じゃあ、地道に探してみましょっか。買い物の最中に落としてしまったのかもしれませんし、寄ったお店も見ましょう!

（何かを考えている。表情からは読み取れない）……そうだな
寄った店はあちらの方にある（向こうを差し）
少し歩くことになるが

問題ありませんよ！　行きますか！　ついでに、歩いてきた道を辿ってみましょう。落ちたばかりならば、其処まで変なところには入ってないはず……です。多分！（再び笑顔で頷いて。本人から視線を外し、きょろきょろと周囲の様子を窺いながら歩いていく）

……（暫し沈黙、また何かを考えてる）
貴殿はなんぞ、暇なのか
（周囲を見回して、自分も探している）

……んー？　まあ、予定はありませんね……？（どうしてそんな事を聞くのだろうかと首を傾げつつ。裏路地を覗いたり、しゃがんでみたり

……なるほど（一人ごちて、勝手に納得している）
――ここの辺りにはないかもしれんな
（道の端を目にしても見当たらず）

……（結構変な人かもしれないな）（ぼんやり
ふぅむ。ではここから、遡るか……。進むように。歩いていきますか。最後に見かけたのはいつだったでしょうか、覚えていますか？（顎に手を当て

……（これは変人というやつかもしれん）（ぼんやり）
財布に紐づけていたのだが、店で買い物をしたときに見てそれきりだ
道中、街中でひもが切れているのに気が付いてな

だとすれば、きっとここから先にあるはず……ですよね！　誰かに拾われていなければ！　うん、もっと奥を探しましょう。ええ！　庭木の中とか……。ありえますしね（そう言いながら踵を返す。勿論冬支度で、分厚いコートのようなものは着ているが、それでも吐く息は白く）

少し待て（自分のマフラーを脱ぎ）
男物だが、使え（マフラーを手渡そうと）

それと、これ以上はお人よしが過ぎる、後は自分で探す。だからもう手伝いはいい

へっ。……い、いや。いいですよ。私自分のコートありますし、あなた……だって寒いでしょう。平気ですから（恐縮したように押し返し）
自分で探すって行ったって手がかり一つないんでしょう。意外と大通りって広いですよ。『大事』なんじゃないんですか……？　見つからなかったら悲しいんじゃないですか？　……故郷のものでしょう？（ぱちぱちと瞬きをして、気遣うように。どうやら転移の際に持ち込まれたものなのだろうかと、彼女なりに推察していたようで）

使え

見つからなければそれでいい
大事な物だが、他人を無理させてまで見つけようとは思わん
だからもういい

そも、見ず知らずを助ける謂れもなかろう

ええぇ……。（勢いに押されてマフラーがユカリの手元に。どうしようかな、とうろたえている所に話を聞いて）
……ふぅむ。じゃあマフラーを借りた恩義、というのはどうでしょう。今すごい嬉しかったので、そのお返しをしたいのです。駄目ですか？　……それに、私も転移者なんです。そういうのが大事なのはよく分かりますから（否定がないことを肯定と考えて。そう話を続けマフラーを巻いた。きゅっとそのまま端と端を結んで）

……（暫し、話を聞いて、考え込み）
――人の心の最きよらかなるは、人の心の最おろかなるたり、か（自罰のようにぽつりと）

（頷いて）承諾した。等価交換だな
であれば、働いてもらおう
（手袋とコートで真っ黒な手を差し出し）
雪が降る前に探すぞ……（何かを続けようとして言葉に詰まる）
――貴殿、名は

……？（かくん、と首を傾げつつ。名を問われれば。満足そうに微笑んで）
……ゆかり。えにしと書いて縁、と言います。そうですね、雪が降ったら埋もれてしまいますからね！（手を取って。握手かな？　とその形に

（握手され）縁、合縁奇縁、か……（また、考え込んで）
俺は浜地という
ではユカリ、よろしく頼む（フードを被って）

もうこの周辺は捜し歩いた
故、もうこの辺りにはないだろう

割と気にいってます。なんて（くすりと笑い）
浜地さんですね。……宜しくおねがいします。えーっと。この辺にはないから……。進みましょうか。先程私が出会ったところまで。一応落とし物の所に届いてないかも確認して……。（ぶつぶつと、考え込むように

そうか（何にそう思ったのか、一つため息）
よく色々と思いつくな、こういったことには慣れているのか？

（全身を一通りぱっと見て）……探偵ではなさそうだが
こういったことに慣れているのか？

ん、えーっと。私も結構忘れ物することがあって……。あはは（苦笑を一つ。視線から逃れるように逸し）
まあ、こうして誰かさんの落とし物を手伝うことも……多いのですが。探偵ではないですよ。アイドルをしています。練達で。

そうか、大変だな
（明らかに隠し事をしているとバレバレの仕草。だが、それを問い詰めるような気はなく、ただ一つ、またため息をつくだけだった）
アイドルか、成程（見目はいい、声も透き通ってる。立ち居振る舞いも、武人のソレとは違うが、何らかの鍛錬を積んでいることは見える。納得、すとん、腑に落ちる）
それで、俺はお前の顔なんぞ知らんが、……いや、流行りにも疎いが、アイドルというのは暇なのか？
（皮肉ではなく、純粋に疑問。人助けする理由が理解できない）

暇、というか……。困ってる人が居たし、この後予定があるわけでもないですし……そうですね。とりあえず今は暇ですねぇ。（ふむ、と首をかしげつつ。なぜ溜息を吐かれてるのかはわかっていない様子）
幻想とかではまだまだなんですよ、いうて駆け出しの歌い手ですし……。って私のことはいいでしょう。ほら、早く探さないと日が暮れてしまう

暇な駆け出しの歌い手か（ざっくばらん）
大変だな（二度目）

……まぁ落ち着け、急いては事を仕損じる
焦っても探し物が見つかるわけでもない
まずは店の方にでも向かうか（そう言って歩き出す）

ゔっっっっっ（ユカリに１００のAPダメージ！）　まあ、そう、そうですけどぉ………。

それはそうですね……。むしろ懸命に探してる時ほど見つからないものですしね……。と、と！もう一個お店に寄ったんですか？　最初に話してくださいよお（ぱたぱたと追いかけるように

……？　何をそんなにうろたえている（天然には何も分からない）
まぁ、駆け出しのうちは暇なものなのだろう（天然には）

……飯屋に寄ったのを思い出してな
いや、単に店という単語と結びついてなかっただけかもしれん（顎に手を当て）すまんな
それと、あまり離れんように……
（追いかけて来る面を振り返り見て、少し思案）……手でも繋ぐか？

まあそうなんですけど、放っておいてくれるとうれしいです……。（へんにゃり）
なるほど、なるほど。ごはん屋さんでしたら腰も下ろしたでしょうし。可能性は高い……。（納得したように頷きながら早足で追いすがって、振り返った相手の提案に）

手、ですか？　そうですね、そうしてくれたら……楽かも。私そそっかしいですから、見失っちゃったら困りますし……。（頷いて、手を差し出し）

そうか（無表情に頷いて）
（もふもふのミトンで手を繋ぎ）そそっかしいというよりは……いや、なんでもない
（歩幅は緩めて無言で歩き出す）