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【風巻・暁威】
風巻源四郎暁威(かざまきげんしろうあきたけ)。
戦乱の世を駆け抜けた元忍にして風巻流小太刀の開祖。威降のご先祖様。

幼少の頃に戦火によって故郷を失い、『暦』という名の忍衆に拾われ下っ端組として修練の日々を過ごす。
所属は睦月班。剣や忍術の才能は並であったが算術に優れていたらしく、行商に扮しての情報収集や経理の手伝いなどをしていた。
師である睦月を慕い、後をついて歩く様子は子犬のようだったと伝えられる。

少年時代の終わり、『暦』消失事件によって上司や同僚を全て失い、後に妻となる風巻花琳と出会うまでの間は彼らを探して全国を巡っていたようである。

風巻花琳と夫婦になった後は『暦』と縁のある宿場町に居を構え、町民に護身術を教えたり夫婦で物見遊山に出かけたりと穏やかに日々を過ごす。
晩年は縁側でぼうっと生垣を見つめる事が多くなり、孫が話しかけると「皆は、今頃どこにいるのかなと思ってね」と寂しそうに笑ったという。

享年108歳。最期の言葉は「皆が帰ってきたら、代わりにおかえりと言ってあげてほしい」だった。

現代を生きる子孫達はそれぞれの道を歩んでいるが、暁威から受け継いだ剣を磨きながら今も彼らの帰りを待ち続けている。

■エピソードあれこれ
・暁威は温和な人柄であったが、自分の大切なものの為ならどこまでも物騒になる人物でもあった。特に『暦』に関して小馬鹿にする態度を取った者は必ず後悔したという。
・暁威はある日小さな玩具のピアノを手に入れると大切に飾り、時折それを弾いていた。お世辞にも上手いとはいえない腕だったそうだが、彼は懐かしそうに微笑んでいたという。
・暁威は『暦』に所属した頃からつけていたと思われる日記を遺している。当時の時代を知る貴重な資料だが、【対弥生様兵法】と書かれた書物だけは未だに何のことだか分かっていない。
・風巻本家には暁威作とされる一幅の掛け軸がある。貴重な顔料によって着色されたその絵には金髪碧眼の可愛らしい少女と彼女を抱き上げる目元だけを露出した忍び装束の男が描かれている。

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