物の少ない、非常にこざっぱりとした和室。
唯一の家具といってもいい机には、混沌の地図が広げられている。
その地図に無数に書き込まれた文字は、暗号だろうか。
読める者は、この部屋の持ち主だけだった。

(広げた地図を前に、固まって早数時間)

ーー鳳圏が取るに足らない少勢力だということは理解はしていたが。
本当に、この世界というものは広いものなのだな……。
名すら載りもしない小さな国同士の小競り合いが、俺達の国の全てだったのか。
本当にーー本当に、馬鹿馬鹿しい。

食うに困るのは避けたい。
と、いうことで仕事を受けてみたが……潜入は得意だが、暗殺とはな。
気は進まないが、それ意外に関しては俺の得意とするところだ。
成功させ――そして、給金で暖房器具を買うぞ。