ギルドスレッド
桜杜
(夜。
桜神の社殿の中に、真は入り込んでいた。
彼は、表の参道が見える窓辺の障子戸を開けて、時たま吹く風を浴びながら、何とはなしに月を見上げて壁を背にしてもたれかかり、気だるげに座っている。
片手に持った桜のお神酒が入った小盃を、クイッとあおる。
彼が空になった小盃を床へ置くと、代わりとばかりに、白桜色の燐光を淡く放つほっそりした手が伸びて小盃をさらう。
真は隣で静かに小盃にお神酒が注がれる音を聞き、それが一息に飲み干される音と声を聞いた。
真の足元に、空になったお神酒の一升瓶が転がってきた。真は長く伸びた前髪をかきあげて窓枠に頬杖をつき、悩ましげな顔で隣を見た。
たおなかな女性のようなヒトの姿をとった桜神が、頬をほんのり赤く染めて真にもたれかかり、夢見心地で小盃を手で弄んでいる。
桜神は真の視線に気がつくと、何かを探すように真の体をまさぐる。
真は桜神の手を掴み、小盃を取り上げた。
桜神は期待するように、真を見上げる。
真は目を瞑り、吐息を吐き出すように桜神から隠してひっそりとため息を吐いた。
真は桜神を押し倒した。桜神から短い悲鳴が上がる。パサリと広がる桜神の桜色の長い髪、ふわりと桜の薫香がして、桜神の目が驚きに見開かれる。
真は機嫌良く口許をゆるめて弧を描く。
そうして桜神の顔の横に、ドン! とギフトから出した酒瓶を置いた。
ぽかんと開く桜神の口。イタズラが成功したことでクスクスと楽しそうに笑う真。桜神は、酒を見た。真を見た。そして目をキラキラと耀かせると興奮した面持ちで真に抱きつき、今度は桜神が真を押し倒した。
真は桜神を受け止め、ごろりと体勢を変えて言った。ーー今夜はこの一本で最後だよ? と。
桜神は不満な表情して、真の胸に指で"の"の字を書く。曰く、ーーまた明日もお酒を持ってきてね? と。
ああ、と真は頷いた。桜神の手が真の肩を軽く押す。真の視界がグルリと回った。
気がつくと、桜神は真があげたお酒と一緒に姿を消していた。
桜神が残していった桜の花弁をひとひら、拾いあげる。真は桜神の御神体である万年桜がある方角を見て、ぽつりと吐き捨てた。
ーー……この、呑んだくれ。
夜風が桜の花弁を社殿に散らす。
真は再び、壁にもたれて月下の参道を眺め、眠れない夜をやり過ごそうと、物思いにふけることにした。)
桜神の社殿の中に、真は入り込んでいた。
彼は、表の参道が見える窓辺の障子戸を開けて、時たま吹く風を浴びながら、何とはなしに月を見上げて壁を背にしてもたれかかり、気だるげに座っている。
片手に持った桜のお神酒が入った小盃を、クイッとあおる。
彼が空になった小盃を床へ置くと、代わりとばかりに、白桜色の燐光を淡く放つほっそりした手が伸びて小盃をさらう。
真は隣で静かに小盃にお神酒が注がれる音を聞き、それが一息に飲み干される音と声を聞いた。
真の足元に、空になったお神酒の一升瓶が転がってきた。真は長く伸びた前髪をかきあげて窓枠に頬杖をつき、悩ましげな顔で隣を見た。
たおなかな女性のようなヒトの姿をとった桜神が、頬をほんのり赤く染めて真にもたれかかり、夢見心地で小盃を手で弄んでいる。
桜神は真の視線に気がつくと、何かを探すように真の体をまさぐる。
真は桜神の手を掴み、小盃を取り上げた。
桜神は期待するように、真を見上げる。
真は目を瞑り、吐息を吐き出すように桜神から隠してひっそりとため息を吐いた。
真は桜神を押し倒した。桜神から短い悲鳴が上がる。パサリと広がる桜神の桜色の長い髪、ふわりと桜の薫香がして、桜神の目が驚きに見開かれる。
真は機嫌良く口許をゆるめて弧を描く。
そうして桜神の顔の横に、ドン! とギフトから出した酒瓶を置いた。
ぽかんと開く桜神の口。イタズラが成功したことでクスクスと楽しそうに笑う真。桜神は、酒を見た。真を見た。そして目をキラキラと耀かせると興奮した面持ちで真に抱きつき、今度は桜神が真を押し倒した。
真は桜神を受け止め、ごろりと体勢を変えて言った。ーー今夜はこの一本で最後だよ? と。
桜神は不満な表情して、真の胸に指で"の"の字を書く。曰く、ーーまた明日もお酒を持ってきてね? と。
ああ、と真は頷いた。桜神の手が真の肩を軽く押す。真の視界がグルリと回った。
気がつくと、桜神は真があげたお酒と一緒に姿を消していた。
桜神が残していった桜の花弁をひとひら、拾いあげる。真は桜神の御神体である万年桜がある方角を見て、ぽつりと吐き捨てた。
ーー……この、呑んだくれ。
夜風が桜の花弁を社殿に散らす。
真は再び、壁にもたれて月下の参道を眺め、眠れない夜をやり過ごそうと、物思いにふけることにした。)
(夕暮れ時。
真は帰宅する参拝客達とすれ違い、鳥居をくぐり、参道を通って、靴を脱いで社殿に上がる。
真は社殿の出入り口である障子戸を潜り、桜神の姿を探して視線をさ迷わせた)
今日はここには居ないか。
(社殿の縁側に移動して、欄干を背にしてあぐらをかいて座る。
今日はここにしよう。
ここなら、参道を通って桜神に参拝する参拝客がこちらからは見えるけれど、あちらからは物陰の死角になってこちらが見えないだろう。桜神に参拝することに気を取られている者は、こちらへ気付かず帰るハズだ)
ここは涼しくて気持ちいいね。少し、眠いや。(あくびをする)
……ぼんやりするのも悪くないかな。
(真は足を伸ばして、のんびりとする)
真は帰宅する参拝客達とすれ違い、鳥居をくぐり、参道を通って、靴を脱いで社殿に上がる。
真は社殿の出入り口である障子戸を潜り、桜神の姿を探して視線をさ迷わせた)
今日はここには居ないか。
(社殿の縁側に移動して、欄干を背にしてあぐらをかいて座る。
今日はここにしよう。
ここなら、参道を通って桜神に参拝する参拝客がこちらからは見えるけれど、あちらからは物陰の死角になってこちらが見えないだろう。桜神に参拝することに気を取られている者は、こちらへ気付かず帰るハズだ)
ここは涼しくて気持ちいいね。少し、眠いや。(あくびをする)
……ぼんやりするのも悪くないかな。
(真は足を伸ばして、のんびりとする)
こんちはー。
(真は黒いヒールロングブーツを玄関先で脱いでギフト鞄に仕舞うと、神殿へ上がった)
うわっ!? 思ったよりヒッデー有り様!!
桜神と領民達め、ここで飲んだくれのどんちゃん騒ぎをしたね!? あー、これ誰のパンツだ。こいつはどこのどちらさんだ。まあ、いーけど。
ねえ、桜神。酒瓶抱えて寝てないで起きて。この惨状の片付けをするよ。(ゆさゆさ)
ねえ、桜神。ねえ、桜ちゃん。ねえってばー!
どわぁああっ!?
(寝返りをうった桜神に、真は巻き込まれて押し倒される。桜の枝葉と花吹雪が、真を包み込んだ!)
ちょっ、桜神さん!? どこまさぐってるの!? そこにお酒は無いよ!!? あっ、ちょっ、うわっ!?!! あ、やめっ、くっ、ふはははっ、ちょっと、くすぐったい!! だから、やめ……ぷっはははは! だからやめ……――やめれ。(マジギレ声)
(すーっと表情が消える)あとでちゃーんとお酒を持ってきてあげるから、それで勘弁しておくれ。ね? ……ほんと、ほんと。(にこり)
それじゃあ、年始最初のお片付け、始めよっか。
(真は黒いヒールロングブーツを玄関先で脱いでギフト鞄に仕舞うと、神殿へ上がった)
うわっ!? 思ったよりヒッデー有り様!!
桜神と領民達め、ここで飲んだくれのどんちゃん騒ぎをしたね!? あー、これ誰のパンツだ。こいつはどこのどちらさんだ。まあ、いーけど。
ねえ、桜神。酒瓶抱えて寝てないで起きて。この惨状の片付けをするよ。(ゆさゆさ)
ねえ、桜神。ねえ、桜ちゃん。ねえってばー!
どわぁああっ!?
(寝返りをうった桜神に、真は巻き込まれて押し倒される。桜の枝葉と花吹雪が、真を包み込んだ!)
ちょっ、桜神さん!? どこまさぐってるの!? そこにお酒は無いよ!!? あっ、ちょっ、うわっ!?!! あ、やめっ、くっ、ふはははっ、ちょっと、くすぐったい!! だから、やめ……ぷっはははは! だからやめ……――やめれ。(マジギレ声)
(すーっと表情が消える)あとでちゃーんとお酒を持ってきてあげるから、それで勘弁しておくれ。ね? ……ほんと、ほんと。(にこり)
それじゃあ、年始最初のお片付け、始めよっか。
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※桜神について
桜神はツヴァイアーク家とツヴァイアーク領を守護する土地神です。
桜神は、『縁結び』と『延命長寿』の御利益がある神様として知られています。
真は桜神の眷属であり、桜神とは共存共栄の関係性です。
桜神は面白いことや楽しいこと、お祭りなどの賑やかなことが好きな方。
この桜神の社殿は、桜神とツヴァイアーク家と真の話し合いによる取り決めで、桜神の催事がない時は、どなたでも立ち寄れる場所となっております。