こちらは、外部の方でも楽しんでいただける、そういう屋敷の「離れ」ですわ。
ええ、母屋と同じく、絡繰りまみれです。

こんにちは、アルエットよ。ここは、からくりのお屋敷？
誰かいるのかな？　（恐る恐る顔を覗かせる）

（軋む音がしたと思ったら、壁の側に人が。どうも回転扉だったようだ）
あら、いらっしゃいませ。家主の李密使です。呼びにくければ、みっちゃんとでもお呼びください。
そう、ここは絡繰り屋敷です。

えーと、みっちゃん。よろしくね。
（一歩前へ出した右足が四角い板を踏み。カラカラと木の軋む音と共に回転扉が回り廊下に出される）
あ、あれー？

アルエットさん、よろしくお願いしま……（回転扉が発動したのを見て）
あっ。あー……。えっと、そうでした。玄関付近には回転扉が多数、あるのでした。
えっと、足元に四角い板ありませんか？　それを踏めば、元の場所に戻るのですが。
いいですか、三角の板は踏んではいけません。絶対に踏んではいけません。地下に出てしまいます……。
（壁というか、回転扉の向こう側から声がしている）

え、あれ、みっちゃん、よく聞こえないの。
三角？　うん、三角あるよ。これだよね？
（三角の板を恐る恐る踏んだ。床板が勢いよく開いた）
……ひゃわ！？

く、回転扉が邪魔……！！　声があまり届かないって。
（ガコッっという音が聞こえた）
ち、地下への扉がっ！　滑り台式で終着点にはもっふもふのぬいぐるみまみれの部屋がっ！！
（四角の板を踏んで、回転扉を作動させる。廊下へ）
アルエットさん、大丈夫ですか！？

『あ、みっちゃん？　アルエット、落ちちゃったみたい。ぬいぐるみいっぱいなのー』
（地下からアルエットの声が聞こえて来る。どうやら怪我は無い様だ）
『そっちに戻るには、このレバーを引けばいいのかな？　よいしょー』
（アルエットがレバーを下げたであろう音と共に、密使の近くでなにやら不穏な軋みがし始める）

秘密にしておきたかった趣味部屋ー！！
でも、怪我がないようで安心しました。え、戻るには確かにそこにあるレバーを…
（近くの不穏な軋みに気づいて）
あ、しまった。木造エレベーター、この階に止めてました。
（ふいに開いた扉の中へこけつつ。地下へどんぶらこっこー）