此処はキッチン。
リビングからそのまま行くことが出来る。
一通りの設備は揃っているようだが、正常に動くかどうかは分からない。
どうやら長年使われていないようだ。
何故かって、ガスマスクガールは流動食があれば十分だからね。

使うのは自由だよ、動く保証はないけれど。
ただし食材はないから各自で用意するといい。

流動食しか食えない自称家主がキッチンに何の用があるのかって？
それはね、キミ。
ここは壁に穴、割れた窓で日当たりがいいんだ。

（埃だらけの床の上、破けたタオルケットを引き摺りながらキッチンへ入ってくる）
（日の差し込む位置を見定め、寝転がってタオルケットにくるまる）

……うんうん。
（日当たりに満足そうに息を漏らして目を閉じる）
（寝入ったようで、その内健やかな寝息が聞こえてきた）

…ｼｭｺﾞｰ……（ｶﾞｯ）
（寝息と共に寝返りをしだす）
（狭いキッチンでは彼方此方に体をぶつけてしまうようだ）
（どこがどうなったのか、タオルケットの穴から手足が出ているのが見える）
（健やかな寝息は変わらず聞こえてくる）
（よく寝入っているようだ）

……。
（手足がぴくりと動く）
（どうやら起きたようで、片手を頭へと持っていった）

……アレ？どうなっテルの、コレ……。
（タオルケットの穴に絡まった手足に気付いたのか、不思議そうな声が漏れる）
（微かな唸り声と共に抜け出そうとするが、余計に絡まっていく）

……モウ切っちゃオウか。
（不穏な声が漏れるが、残りのタオルケットの枚数を考えてやめたようだ）
（再び抜け出そうと唸り始めた）

ほう、こんな所があるのか。なんだこれは……ん？
（探検がてら入ったこの場所。人がいるのは想定外）

（人が来たのに気が付いて、もそもそとした動きを止める）
ヤ……君は、ええとタシか。
ウサギの時の――ああ、ソウだ、ランドウェラ。
久しぶりだね、イラッシャイ？
（タオルケットに絡まったまま見上げる。手を上げようとして、穴の拡大を恐れやめたようだ）

そうだよランドウェラだよ（ウサギ、ウサギ……このガスマスクは……）
ジェックか。仕事以来だからなぁっと。邪魔するぞ。
（少し埃を払い床に座る。絡まっている姿をまじまじと見つめ）
新しい遊びかい？

ドーゾドーゾ、自由に入ってイイよ。
（頷くように、毛布から出ている頭を動かす。ガスマスクで殆ど動きが隠れている）
そうそう、アラたな遊びを考案シテね……いや、ジョウダンだけど。
寝てたハズなのにキがついたら絡まっテテ。
チョット助けてくれナイかい？
（ガスマスクの下から困り切ったような声が聞こえる）

やはりか。すこし物が違うが毛布でぐるぐるになって転がるのが楽しえ冗談？……寝ててなったのか。わかるぞそれ（わかりやすく切り替え、ついこの間ベットから落ちたのを思い出し右腕をさする）
……えーどうしようかぁ。この状態、見る側である僕にとってはかなり楽しいのだよなぁ。

エ、分かるノ？もしかしナクてもランドヴェラって寝相ワルいタイプ？
（思いがけぬ同意に、驚いたような声が聞こえる）
ってナニなに、まさかタスけてくれないカンジ？
クッ、鬼！アクマ！薄情モノ！
（辛うじて出ている手を抗議するように動かしている）