ギルドスレッド
キャリー喫茶店
(からんからん、とドアベルを鳴らしながら喫茶店へと入る。話によれば、この店の隅の方に、同業者がいるらしい。そいつへ自分の持っている密書を渡せ、というのが今回受けた仕事の指示だった)……キャリーじゃない喫茶店に入るのは久し振りだな。(なんとなく不思議な気持ちになりつつも、指定された隅の方の席へと向かう。仕事は手早く済ませるに限る)
(ゆらりゆらりと、湯気の出ないコーヒーカップを前に窓の外を見つめる猫の姿)……待ち合わせとはいえ、こういう場所はあそこ以外にはあんまり行かないし何だか新鮮だね……(依頼の内容は密書の送達。ただいつもと違う点は、同業者から自分へとリレーさせる特殊な依頼であったため、指定されたこの店で待っているのだが)……さて、そろそろ来る頃……あっ。(からんと鳴る扉へと振り返ると、どこかで見たような顔が一つ)
ああ……?(隅の指定された席にいた、見慣れた顔と視線がカチ合う)……なんでエクリアの嬢ちゃんがここに。休憩中か何かか?(視線が合ってしまったからには、話し掛けずにはいられない。席の近くまで行って、小さな疾り屋を見下ろす)
……うーん、まぁ、簡潔に説明するならばこれも仕事……と言うべきなのかな?(同業者とはいえ、細かに話とクライアントから何を言われるのか分からないので、若干ぼかした言い方)……そういう君はどうしたんだい、珍しいじゃないか。キャリー以外のお店で見かけるだなんて初めて、だよね。(同業者、と考えている間に、ふともしかしてという疑問が浮かぶ)
(一つ、大きな溜め息をついてエクリアの向かい側の席を引いて座る)……仕事の一環だよ、こっちも。手紙の引き継ぎ。アンタもそうだろう?
やっぱりか……。(額に手を当てる。何となく察しの付くことではあったが、それでも万が一ただの偶然かもしれないという儚い期待は消え去った)……なんだってこんな日陰仕事やってるんだよ。(呆れたような、責めるような、それでいて、どこか諦めたような口調でエクリアへ問い掛ける)
(小さく溜息をついて、冷めたカフェオレを口に運んで)あのさ、それはこっちも言うことが出来る台詞なのは分かっているかい?(じとりと彼の目を見て)私は依頼をもらったから、それを受けているだけさ。何もこういう仕事を望んで受けているわけではないよ。
(すい、と目を逸らす)長距離輸送はこっちの領分なんでね。街から街への特急配達となると大体俺に声が掛かる。(要は、エクリアと同じこと。依頼されたから受けただけに過ぎない)危険だってことは理解してるんだろうな。
……なるほどね、ここから指定の街までは段差や整備が乏しい道を行くことになるから……というわけだ。(クライアントの意図を読み取り、なるほどと頷く)していなければ、こんな時代に、わざわざこんな町の外まで動くなんてことをするはずはないさ。(もちろんだとも、と頷き答える)
…………。(しばし思い悩む沈黙が挟まって、彼はいつも提げているポストマンバッグから一通の封筒を取り出して、エクリアへと差し出す)仕事は仕事だ。渡すもんは渡す。だが、あんまりこっちの仕事に入るもんじゃねえ。アンタの脚と、くれてやった銃で対処できる範囲ってのは限られてるんだ。
どうも。(帽子を軽く外して会釈をしながら、手紙を受け取りバッグに仕舞う)……そんなに信用ならないかい、私の脚は?(少しむっとしながら手を組みながら口元を隠し、彼の顔を見上げるように)
脚の疾さだけなら信用できるさ。だけならな。……だが、こっちの稼業は脚の疾さだけじゃどうにもならねえこともある。積んだ経験と地頭の良さでしかどうにかできねえことがある。どうにもならなきゃそこでおしまいだ。(エクリアの未熟さ、早熟さを見ての言葉。その口調には厳しいものだが、心配する色が見え隠れする)
……君さ、私とあんまり年が変わらないことちゃんと覚えているかい?(確かに彼の方が頭も回るし、経験もあることは認めると頷きながらも少し反抗するように)それでも、私は経験を積まなくちゃ君に追いつくことすら出来ないと思うんだ。脚は前に出さなきゃ進まないでしょう?(疾りの分野はともかくとして、運び屋としては彼の方がキャリアも力も高いことは重々理解している。だからこそ、なのだ。)
(エクリアと自分は3歳差。3年違えばどれだけの依頼を受けられるだろうか。年若くして働く二人にとって、この3年の差はいまだに大きい)……まさかとは思うが、嬢ちゃんアンタ、俺に追いつくためにこの依頼を受けてねえだろうな。
……直接的な意図ではないよ。そういった経験でもある、ということさ。(同じ仕事をしているわけではないが、少しでも彼に認められるようになることを考えていることは口に出さず)……ま、追い付く……いや、いつかは追い抜くことが出来ればいいかな、とは考えているよ。
(呆れるべきか、怒るべきか。あるいはいつものように生意気だなどとからかってやるべきか。迷った末に出て来たのは溜め息だった。どうにも、エクリアが努力する姿勢というものにどうこうする気にはなれなかった)死ぬんじゃねえぞ。死んだら……(自分で口にしておきながら、少し想像してしまって。表情が僅かに険しさが漏れ出る)……死んだら、会えなくなるからな。
(彼の表情を眺めながら、小さく頷いて)……当たり前さ。死んでしまったら、君のカフェラテが飲めなくなってしまう。それに、泣いている君の姿を私だけが見られないなんて、勿体ないことは出来ないさ。(くすりと微笑みながらそう言って)
(遺体を前に泣いている自分を想像して、渋面してしまう)そしたら仕事でヘマをやらかしたバカだったと伝え聞かせてやるさ。(肩を竦めて返す言葉はいつもの憎まれ口だった)そうならねえように、また来週にでも喫茶店に来られるように頑張るこったな。
はは、逆の立場にならないことを祈るさ。君の言っていることは、私からも言えることだからね。(にこりと微笑みながらも、そういったことは起こらないようにと、心の中で祈りながら)ふふ、そうだね。私のことが大好きな君のために、ちゃんと元気な姿でまた喫茶店に顔を出してあげるさ。
俺は死なねえさ。死んだらアンタらの面倒を見るやつがいなくなるしな。(当たり前だろ、と口にして。彼は席を立つ)言ってろ。精々生存報告を欠かして俺の愛想を尽かさせねえこった。
ふふ、信じているよ。(街の賑わいから、お昼も過ぎた頃と判断し)……さて、そろそろ行こうか。ま、君はしっかり私の生存報告を待っていてよ。必ず戻るからさ。(にこりと微笑みながら、懐から喫茶店で頼んだカフェオレの代金を取り出して立ち上がる)
ああ、信じて待ってるさ。またキャリーで会おう。(そう言って、パーセルはポストマンバッグを肩に掛けて、店から出ていく。からんころん、とドアベルが鳴った)
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陽の光が差し込むのどかな店内。キャリーとはまた違った、明るく若い層に受けそうな場所だった。
その隅の席の方へと、運び屋は足を運ぶ。
※パーセル・ポストマン、エクリア・メティオウラ