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ギルドスレッド

キャリー喫茶店

【個別】童女の饗宴

▼まさしく饗宴と言うべき光景だった。
 目の前のテーブルに並べられた皿の上には季節の果物を使ったものから焼菓子まで、様々な甘味が山と積まれ、甘い匂いとうまそうな外見で嗅ぐ人、見る人の気を引こうとしている。
 ――デザートビュッフェ、と呼ばれる甘味の食べ放題イベントだ。

※パーセル・ポストマン、エゼルの個別スレ

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ほー……。(受付に二人分の記名を終えて、会場内に足を踏み入れると同時に、わずかばかりに感心したような声を漏らす。甘味の食べ放題というだけあって、純種、異種問わず多くの女性が甘味を楽しんでいるのが見えたからだ)
こりゃすげえ。結構な値段がしたっつーのにこういうイベントに来るやつはいるんだな。
(早速自分も一つ二つ頂戴しようか、と歩を進めようとして、足を止めて振り返る。今日の自分は『保護者』なのだ)
はぐれて迷子になるなよ、エゼルの嬢ちゃん。
もうそんな子供じゃないもん。ばかにしないで、マスター……じゃなかった。パーセルさん。(精一杯の虚勢を張る。もっと小さかった頃、帝都帰りの老将軍から似たような催しの存在は聞いていたけれど、聞きしに勝るとはまさにこのこと)
ねえ……ここ、本当にいて大丈夫? 場違いだったりしない?(ほうぼうから漂う甘い匂いは牛酪をふんだんに混ぜているせい。焦げたような匂いは砂糖だろう。それから、明らかにこの地方では取れない果物が、そのままの状態で使われている。これらの菓子に払われただろう労力と費用を考えると、思わず気が遠くなりそうになる)(『私の』尺度で図るなら、こんな催しは皇帝陛下や元老院議員のためのもの。こんな所に、盛装も持てない異世界人の小娘が顔を出して大丈夫なのだろうか、と)
(へいへい、と肩を竦める)
あ? アンタも来たいって言ったから来たんじゃねえか。
(女はこの手のが好きなものだとばかり思ってたんだが、と頭を掻く)
パーティーとかじゃねえんだ、そう堅っ苦しく捉えずに気楽に構えろ、気楽にな。
おら、制限時間もあるんだ、置いてくぞ。
(そう言って促すようにちょいちょいとテーブルを指す)
うん、まあ。それはそうなんだけど。ここまでとは思わなくて……。(言い訳じみた言葉が漏れる。実際の所、気後れしまくっているだけであった)
あ、まって。はぐれたら見つけられない。(促された先、ちょこまかと後に続く)
(後ろを振り向いてちゃんと付いてきたことを確認すると、歩調を落としてエゼルに合わせる)
んで、何から食いたいんだ。……ああ、冷たいものとか腹に溜まりやすいものは後にしておけよ。コーヒーと紅茶は……まあ、嬢ちゃんは飲めねえから関係ねえか。
(ほらよ、とトレイとフォークのセットを二人分の確保して、その片方をエゼルへ差し出す)
ありがと。(大人しくトレイを受け取る。さて、どうしようと辺りを見回した)
(華やかな菓子の数々に目移りする。どれもこれも、美味しそうだ)うーん……。えっと、じゃあ。あれ……とか、どうかな。(指をさした先には、色鮮やかな南国の果実が盛られたショートケーキ)
南方の果物を使ったケーキか。なんだ、アレが食いたいんだな。ほれ、皿出せ。
(発色が良いため物珍しさもあるのだろう、と推察しながらも、トングで自分の分、エゼルの分と載せていく)
あんなの、もといた所だと干したのをたまに見るだけだったし、目が飛び出るくらい高かったから……。(我ながら現金なものだとは思うものの、甘美な誘惑には抗えなかった)……ありがと。(大人しく、トレイを持ち上げる。彼の胸までしかない背丈では、どうしても掲げるような形にのるのだが)
アンタの住んでたところも大概貧しいところだな……(当然のようにマグを確保してコーヒーを注いで飲む)
つっても、アンタも稼ぐようになったんだから普通に市まで行けば買えるだろ?
衰退してるとは思ったけど、貧しいとは思ってなかったんだけど……。(滅んだとはいえ、既知世界の過半を支配した帝国が、と思ったものの)(喫茶店で出会った多くの人たちを思い浮かべる。いずれも遙かに進んだ文明の片鱗を感じた)たしかに、混沌の人や多くのウォーカーの人からしたら、原始的な文明だったのかもしれないね。(コーヒーは飲めないので、ティーポットから紅茶を注いだ)
確かにお金を出せば買えなくはないんだけど、何があってもいいように貯金しておきたくて。
原始的だなんだって言い始めたらキリがねえよ。この街の文化レベルだって、衰退する世界に住んでたニアライトの嬢ちゃんだとかクラカの旦那たちにとっちゃ古代も良いところだろうしな。(比べるだけ無駄だ無駄、と肩を竦める)
歳の割には無欲……っつぅか、むしろその感じだと金の使いみちがわかってねえんじゃねえのか? 普通はもっとあるだろ、服とか、装飾品だとか……あとは玩具とか。それこそ、今みたいに食い物だとか。
たしかに、それはそうかもね。ここはいろんな世界の人がいる世界だし。
欲しいものがあんまり多くないのは確かなんだけど……なんだか、こうして一人だけこっちに喚ばれた私だけがそういう贅沢するのが悪い気がして。
(言われて、目の前の少女にも元の世界に家族がいたのだろうという至極当たり前のことに、ようやく気付いて。どうしてそんなことにも気付かなかったのかという自嘲をコーヒーと共に流し込む)
……アンタの親だか保護者は、アンタ一人がいい思いしてたらなんだかんだって口ィ出してくるようなやつらだったのか?
(親と聞いて、遠い目になる。瞳の色は親愛と、僅かの哀惜)……母様は記憶にないから分からないけど、父様はそんな事は言わなかった……かな。むしろ、私が不自由しないようにしてくれてた位だし。
でも……父様も死んじゃったから、そっちじゃないんだ。(身の上を話してこなかったのは、その理由がなかったのみならず、いらぬ憐憫や同情を買いたくなかったから。どう言ったものかと思案するが、結局うまい言い方が思いつかなかった)帝国が蛮族に負けて、私の町も占領されちゃってね。父様、けっこう偉い軍人だったし、あいつらに娘だってバレたら乱暴されて殺されそうだったから路地裏に逃げたんだ。戦災孤児っていうのかな。似たような境遇の子は何人かいて、協力して何とか生きてきたんだけど……私だけ、こっちに喚ばれちゃったから。
(少し立ち入ったことを聞いてしまったな、と頭を掻く)
……そうか。アンタも頑張って生きてたんだな。
(エゼルを見ずに、皿へケーキやパイを次々に取って行く)
ここにいるのはアンタだけだ。嬢ちゃんの仲間が見てるわけでもないし、ましてや声も届かねえから責められるようなこともねえ。
それでも気が引けるっつうんなら――(ほらよ、とエゼルの持つトレイへ、山と甘味を盛った皿を載せて)食え。食って、この味を覚えて、いつか会った時に話してやれ。話し終えたらきっとそいつらは自分も食いたいって言うだろうさ。そしたら、アンタが稼いだ金で食わせに行ってやれ。
やっぱり、死にたくはなかったから……ね。今はこうして安全な世界にいるわけだけど。
(そこまで言ったところで、トレイに皿が載せられた)え、ちょっと。こんなに沢山。(食べられないよ、という言葉はパーセルの声に呑み込んだ)……そうだね。今は何をどうしたって帰ることなんてできないわけだし……そうするよ。(言って、載せられた甘味の一つを手に取った)
あと……パーセルさんて、とても優しいんだね。(意外というほどでもないが、思ってたよりもずっと優しかったと思う。もしも兄がいたらこんな感じだったりしたのだろうか、などと考え)
褒めたって何も出やしねえぞ。(平静を装いながら、ぐるりと周囲を見渡す)
こっちだ。(見つけた空き席へとエゼルを誘導して、座った)
……しかし、わかっちゃいたが野郎がこんなにも少ない場所だとはな。多少はいるもんだと思っていたんだが。
(少しばかり居心地の悪そうな顔をしながら、周囲の机を見る。なるほど確かに、大半が女性客ばかりだ)

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