キーン　コーン　カーン　コーン
放課を伝える鐘の音が大きく響く。同じ時間に聴く同じ音、変わりない日常を告げるモノでもある。
「ハイ、それじゃあ今日は此処まで。……小鳥（おどり）さん」
「起立、礼、「「「さようなら！」」」
小鳥と呼ばれた少女が号令を掛け、それに従い子供たちが別れの挨拶をする、日本の学校での慣習だ
「よーし今日も部活、頑張るぞ！」
「最近調子良いもんね、大会までに私も仕上げないと！」
喧々囂々、という言葉が良く似合う。
子供たちにとって授業とはまだ見ぬ未来にどう役立つのかも分からない窮屈な物なのだろう。それから解き放たれた時間は何より甘く楽しい。
「ああ、明日乃さんは当番の仕事お願いね」
「はぁーい！黒板掃除と、後ろの黒板に明日の予定書きですよね！」
「それと提出物を職員室へ。ね」
「うわっとそうだった！了解でーす！」
明日乃、と呼ばれた少女がてへへと舌を出す。
人見知りを知らなさそうな大きな瞳、お洒落よりも動きやすさを重視したようなショートカット、明日乃ひかり１４才。この春から中学二年生になった少女である。