神殿の離れにある大きめの部屋。
好きな神に祈るだけの場所だ。
俺も毎日祈っているが、聞きたい事があるなら言え。祈りのついでに答えてやる。

ダイス数値が高いほど、より深く祈れたって事で。別に振らなくてもいいがよ。

ありがとうございます。お祈りできる場所を探しておりました。
……あら、そういえば、貴方は？　迷い子でしょうか。

俺に迷いは無い。人の子でも無い。
そして俺は、離れの神殿とこの祈りの間を管理する者だ。

そ！それは！　申し訳ございませんでした、失礼なことをしてしまったようで。
管理人さまは、ウォーカーさまでいらっしゃいますか？

構わねぇさ。実際、人の姿を取っているのは確かだからな。
そうだ、俺はウォーカー…まぁ、別に珍しくもない話だが。
あぁ、神殿に在る神も別世界に居る存在だ。

おお、では本当の姿というものがおありなのですね、ちょっと気になりました。
いえ、私にとっては珍しいです。最近自身のいた場所から出てきたもので。
別世界の神様ですか……世界には数多の神様がいらっしゃいますね。私は果たしてどの神さまに、ご加護を頂いているのうでしょう。

あ、私はアマリリスです。本名は、ジャンヌ・クロード・ロストレインと申します

別に見て面白くもねぇぞ？　山程にデカくて好きに大きさを変化出来る牛だ。
祈りの間は特定の神だけを信仰する場所って訳じゃねぇからな。
何の神から加護を得てるかなんて、自分しか分からねぇだろうさ。

俺の名はモルグスだ。適当に覚えておきな。

はい！モルグス様ですね、愛らしいお名前です。

牛、ですかっ！そちらが本当の姿というものでしょうか？
ふふ、もし牛さんの姿の際にモルグス様にお会いしても、私が見つけてご挨拶できますので、大事な事なのですよっ。

そうですね……私の神様は、きっと生きてる存在が大好きな神様だといいです！
あなたは、どちらの世界からいらっしゃったウォーカーさんですか？

そうかい、有難うよ。
血の様に真っ赤な色合いの牛だ。黒い模様もあるから見ればすぐ分かるだろうな。
尤も、こっちの世界では変化できんが。

神にも色々な存在が在る。自分に合った神だと良いな？
…どこの世界？世界の名ならばパラゼキアだが――まぁ、こことそう変わらん場所だ。

（メモしながら）はい、赤い牡牛ですね！かしこましました！
…って、あら、見られないのですね、それは残念です…（くすくす笑いながら）

お姿は、見えないのですが……それでも、お祈りすると近くにいらっしゃるような、です。
パラゼギア……色々な種族のかたが支え合って生きている場所、なのですね。

今の所は意味のない情報だ。…ん？何だ、何か面白い事でもあったか？

まぁ、ここに降臨されても困るからな…。神が近くに居ると信じるのは良い事だ。
そうさ。ただし、人間族と神族には大きな隔たりがあるがな。
…さて、祈りの時間だ。

力の体得は近い。

ハイ！　牡牛の姿、気になっていたのですが、
食べられてしまったらどうしよう、なんて考えておりました！
ちょっと、いえ、かなり、ビビりな私です！ハイ！

大きな隔たり……異種族間では、分かり合えないときも、あるのでしょうか……。
人間からみれば、神々は畏れ多いです。神々からみれば、わたくしどもは、ちっぽけな存在でしょう。

そこはかとなく良いことが起きるような気もしますっ

人間は食べねぇかな…。そもそも元の俺は食事の必要ねぇし。
そもそも牛は草食だ。

いや、単に力の差が歴然としてるって事だ。人間に対して特別な感情は持っていない。
今でこそ、多少の考えの変化はあるがな。それでも根本は変わらん。

はっ、確かにそうですね……お恥ずかしいです。
…？　ご飯を食べないのですか。それは……えと、おなかがすきませんか？

そうですか………
……え、あの
………モルグスさまは、神さま側のかたです…か？？

食べなくても問題の無い奴は多い。全体の半分くらいか？
そこまで珍しいって訳でも無いな…あん？ ああ、言ってなかったか？神で合っている。
混沌に飛ばされてからは半神だがな。

は、はい！？　半神、だとしても！私！！はじめて！！神様を肉眼で認めました！！
あ、あの、えと、…………何をお話してよいのやら、い、いつもお守りくださってありがとうございます！！？
本日は、お布施も貢もなく、すいませんです！！

探せば他にも神は居ると思うがね。まぁ、今の俺を拝んでも何かがある訳でもねぇさ。
それと、守っているのは他の神だ。俺に祈りは捧げなくても良い。
貢物があればより良いが、最も大事なのは信仰心…要は祈り。謝る必要は無い。

まだ、なかなか神様とご縁がないようで……。
そうですよね、よくよく考えたら旅人さんの神様がいないわけが、なかったですね。そう思うとちょっとどきどきしてきました！
は、はい。でもモルグス様も神様なのでしたら、信仰します。

確かに、勇者や魔王に比べると多くはない印象はあるな。
…いや、俺を信仰しても本当に何もないぞ？元の力はほぼ失われているしな。

勇者や魔王という存在を目にしたことが……まだ、ありませんから、神様はもっと見つけ辛い予感ですね。
では是非、お友達に。神様と縁を結ぶのは、少し畏れ多くもあるのですが。

そいつらにも様々な種類が有るからな。とは言え、仕事の邪魔さえしなければ可愛い物だ。
友人、ねぇ……まぁ、深過ぎない縁で留めるなら、全然構わん。

はい！ありがとうございます！改めて、よろしくお願いいたします。
立ち話し過ぎてしまいましたね、また改めて伺います。それでは。

じゃあな、アマリリス。好きな時に祈りに来ると良い。

相変わらず依頼が足りてねぇな…。

さて、まずは準備だな。三本程ロープが有った筈…。（道具箱を探しつつ）

さて、どう来るか。

あと数歩が中々遠いねぇ…。

どこも足りてないのは一緒だな…。

まぁ、ミスは誰にでもあるからな。同じ失敗を犯さないように努める様にな。

まぁ、簡単には行かねぇだろうが…な。

…少しの間、休息を入れるかね。

（壁に凭れ掛かって）人間の身体だとどうしても疲れが残るな…。

十分に抑えられているようだな。

案外、超速い人間なのかもなぁ…。

多分、行ける…筈だ。