ギルドスレッド 旅亭『雨宿り』 唐突に一晩で書いた初依頼1周年記念SS『リカノオシゴト』 【瘴気の王】 リカ・サキュバス (p3p001254) [2019-01-11 06:07:18] 1年で色々ありましたねぇ。●まえがき・『SS中の依頼は架空の物です』・青リカが苦手な人は閲覧注意かも。・スマホで4画面分、だいたい1700文字くらい。・記念とか言ってるくせに利香しか出ません。・来年はやりません。●なんて事はない、私向けのとあるお仕事『自らの能力を生かせる仕事を選ぶ』は私の流儀ではあるのだが、実際問題、嫌悪感が無いわけではない。「利香、後は任せたぞ」 先ほどまで生命だった衛兵達の亡骸の前で私に声をかける。後悔するのはもう何度目だろうか。幻想にはありがちな悪徳貴族の屋敷の前で、私は自分自身の無鉄砲さをまた呪っていた。「……まぁ、この力が必要とあらば、何なりとという話ですが」 好色で領民の事を弁えぬ『クソ野郎』な貴族の屋敷に忍び込み、暗殺を仕掛ける。ローレットではありがちな『悪』の依頼。 おまけに『セクシーな女の子には侵入者だろうと歓迎して色目を使う』とまでくれば……私が行くしかないだろう。この点においては私は絶対の自信を持っていた。 ……とはいえ、依頼で必要とはいえ!他人の前で『変身』をする時は若干気が引ける。 私の左の手の平に乗ったそれは、魂の力によって自ら光を発し、ハートを基調とした複雑な紋様が浮かび上がる不思議な宝石。 夢魔の霊石。私はこれをそう呼んでいた。 深い桃色のオーラを放つこの石ころは、私の『命』そのものだ。これ自体はどれだけ強い衝撃がかかろうと決して壊れる事は無い。だが、私の身体が傷つけば、霊石に白い亀裂が入り、私が死へと近づくとこの石も同様に崩壊へと近づいていく。この傷を修復するには特別な材料が必要だ。それは他人の快楽、魂、性欲、情動、その他様々な肉欲に関わるもの。——ああ、ロクでもない。 時々、私はこれが私自身じゃないと思う事がある。実際問題、近くに無ければダメというものでもないのだ。宿屋におき忘れたまま他国に行って平然としていたこともある。 強く左手を握りしめると、ずぶり。何かに呑まれる様な音を立てて、自らの皮膚を石が貫気呑み込まれていく。それと同時に足のつま先から頭のてっぺんへと、意識が飛びかねないほどの快楽が私を貫いた。「本当に私って、ロクでもないわね」 快楽と共に、魔法で産み出された黒い影が私を覆う。別にこれは必要ないのだが、単に自分に起こる変化がみっともないから隠しているに過ぎない。「はぁ、ぁぁぁ……」 後は快楽に身を任せるだけ。腹部に霊石と同じ紋様が浮かび上がり、快楽が自らの肉体を作り変えていく。夢が現へと具現化する。 耳が伸び、背の皮膚を翼が貫き、頭蓋骨は青黒い羊の様な角をグルリと描き出し、尾てい骨からしゅるりとハート型の先端を持つ尾が溢れでる。背骨は軋み皮膚は伸び、自らの視点が高くなっていく感覚と胸部を始めとした全身が『膨らんでいく快感』に包まれる。その快感、悦楽は私自身の精神をも淫らな衝動へと呑み込み、その表情を緩ませる、私自身にはわからないのだが、自らの瞳も魂を見透かすドス黒いものへと変わっているのだろう。とても10秒で終わるとは思えない、長い時間。「ま、そこで待ってなさい♪」 影が自らの皮膚に纏わり付き、それは柔らかく青い皮膚となって現れる。私は長くなった舌の持ち場に困り先端をちろりと出しながらも、『少し背が低くなった』他のイレギュラーズ達へ悪い笑みを見せる。 屋敷を再び見た私の心にもう嫌悪感は無く、むしろ好奇心と『悪い奴をどういたぶってやろうか』という嗜虐心に満ちていた。勿論自らの心境の変化に私自身も気付いているのだが、もうそれさえもどうでもいい。 私は翼を広げると空へと舞い上がり、暗殺目標の貴族が呑気に寝ている2階の部屋の外壁へと飛び移ると、そこにあったガラスの窓を左手の鉤爪で荒々しく切り裂いた。 ——。「んー……おいひぃ♪」 数分後、私の舌の上を一つの『魂』が転げ回っていた。なんて事はない。『素敵な言葉』を投げかけて見惚れていた貴族の喉元をスパッと斬り裂いてやっただけの事だ。私が殺せば、その魂は私のものとなる。 チーズの様にこってりとするほど『悪く』、私と一つになる快楽で蕩ける、美味しい魂。何よりも美味しい最高の味。自分自身が悪魔である事を実感するひと時。舌を絡め、ゴックンと呑み込むと、哀れな男の幸せそうな声が頭の中へと木霊していった。「さてと……みんなの所へ戻りましょうか」 →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する 【瘴気の王】 リカ・サキュバス (p3p001254) [2019-01-11 06:10:49] ●あとがき霊石について云々考えてたらなんかSSになってた。 キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
●まえがき
・『SS中の依頼は架空の物です』
・青リカが苦手な人は閲覧注意かも。
・スマホで4画面分、だいたい1700文字くらい。
・記念とか言ってるくせに利香しか出ません。
・来年はやりません。
●なんて事はない、私向けのとあるお仕事
『自らの能力を生かせる仕事を選ぶ』は私の流儀ではあるのだが、実際問題、嫌悪感が無いわけではない。
「利香、後は任せたぞ」
先ほどまで生命だった衛兵達の亡骸の前で私に声をかける。後悔するのはもう何度目だろうか。幻想にはありがちな悪徳貴族の屋敷の前で、私は自分自身の無鉄砲さをまた呪っていた。
「……まぁ、この力が必要とあらば、何なりとという話ですが」
好色で領民の事を弁えぬ『クソ野郎』な貴族の屋敷に忍び込み、暗殺を仕掛ける。ローレットではありがちな『悪』の依頼。
おまけに『セクシーな女の子には侵入者だろうと歓迎して色目を使う』とまでくれば……私が行くしかないだろう。この点においては私は絶対の自信を持っていた。
……とはいえ、依頼で必要とはいえ!他人の前で『変身』をする時は若干気が引ける。
私の左の手の平に乗ったそれは、魂の力によって自ら光を発し、ハートを基調とした複雑な紋様が浮かび上がる不思議な宝石。
夢魔の霊石。私はこれをそう呼んでいた。
深い桃色のオーラを放つこの石ころは、私の『命』そのものだ。これ自体はどれだけ強い衝撃がかかろうと決して壊れる事は無い。だが、私の身体が傷つけば、霊石に白い亀裂が入り、私が死へと近づくとこの石も同様に崩壊へと近づいていく。この傷を修復するには特別な材料が必要だ。それは他人の快楽、魂、性欲、情動、その他様々な肉欲に関わるもの。——ああ、ロクでもない。
時々、私はこれが私自身じゃないと思う事がある。実際問題、近くに無ければダメというものでもないのだ。宿屋におき忘れたまま他国に行って平然としていたこともある。
強く左手を握りしめると、ずぶり。何かに呑まれる様な音を立てて、自らの皮膚を石が貫気呑み込まれていく。それと同時に足のつま先から頭のてっぺんへと、意識が飛びかねないほどの快楽が私を貫いた。
「本当に私って、ロクでもないわね」
快楽と共に、魔法で産み出された黒い影が私を覆う。別にこれは必要ないのだが、単に自分に起こる変化がみっともないから隠しているに過ぎない。
「はぁ、ぁぁぁ……」
後は快楽に身を任せるだけ。腹部に霊石と同じ紋様が浮かび上がり、快楽が自らの肉体を作り変えていく。夢が現へと具現化する。
耳が伸び、背の皮膚を翼が貫き、頭蓋骨は青黒い羊の様な角をグルリと描き出し、尾てい骨からしゅるりとハート型の先端を持つ尾が溢れでる。背骨は軋み皮膚は伸び、自らの視点が高くなっていく感覚と胸部を始めとした全身が『膨らんでいく快感』に包まれる。その快感、悦楽は私自身の精神をも淫らな衝動へと呑み込み、その表情を緩ませる、私自身にはわからないのだが、自らの瞳も魂を見透かすドス黒いものへと変わっているのだろう。とても10秒で終わるとは思えない、長い時間。
「ま、そこで待ってなさい♪」
影が自らの皮膚に纏わり付き、それは柔らかく青い皮膚となって現れる。私は長くなった舌の持ち場に困り先端をちろりと出しながらも、『少し背が低くなった』他のイレギュラーズ達へ悪い笑みを見せる。
屋敷を再び見た私の心にもう嫌悪感は無く、むしろ好奇心と『悪い奴をどういたぶってやろうか』という嗜虐心に満ちていた。勿論自らの心境の変化に私自身も気付いているのだが、もうそれさえもどうでもいい。
私は翼を広げると空へと舞い上がり、暗殺目標の貴族が呑気に寝ている2階の部屋の外壁へと飛び移ると、そこにあったガラスの窓を左手の鉤爪で荒々しく切り裂いた。
——。
「んー……おいひぃ♪」
数分後、私の舌の上を一つの『魂』が転げ回っていた。なんて事はない。『素敵な言葉』を投げかけて見惚れていた貴族の喉元をスパッと斬り裂いてやっただけの事だ。私が殺せば、その魂は私のものとなる。
チーズの様にこってりとするほど『悪く』、私と一つになる快楽で蕩ける、美味しい魂。何よりも美味しい最高の味。自分自身が悪魔である事を実感するひと時。舌を絡め、ゴックンと呑み込むと、哀れな男の幸せそうな声が頭の中へと木霊していった。
「さてと……みんなの所へ戻りましょうか」