焼け落ちた屋敷の跡地。
傍には燃え残った蜜柑の木が、誰に食べられる事もなく健気に果実を実らせている。

……ここは、？(感覚的に慣れない転移の類いを潜り抜けると見慣れぬ場所だった。きょろきょろと周囲を見渡す。)

いーい眺めだろう。崖の上の大きなお屋敷……つっても、屋敷の方は焼け落ちちまってるけどな。
（相手が穴を潜る時、こけないように手を差し伸べてエスコートしつつ）
ようこそ俺の故郷へ。

そうか、此処がお前の……(深く息を吸い込んでみる。目に映るもの、感じるもの全てがなんだか愛しく思えた)
それにしても、でけぇ土地だな。本当に坊っちゃんだったんだなお前。

今はよそ様の土地だけどな。何者かが買い取って、そのまま放置されている。開拓もせずにだ。
不法侵入はともかく、ちょいと怪しいと思わないか？
（こっちだ、と手招いて焼け落ちた屋敷の中へと入っていく。時間が経っているせいか、燃えカスは少し触れるだけでも砕けてパラパラと地面に落ちていった。
邪魔なものをちょいちょい除けつつ）
リチャードもしかして俺が坊ちゃんだったって事、冗談だと思ってた？