オジヴァンの個人的な部屋
かなり実用的でもあるがそうであるほどに荘厳さも兼ねている
壁の一面には本棚があり多数の書物が収められている
また、ワインセラーも隠されており秘蔵のワインもある

「私」よ、汝は誰ぞ

「「我」よ、私は汝だ、それ以上に何を求める必要がある」

魂も外見も異なるが同じ名を持ちしものぞ、されどそれはとうに朽ちた
ならば何故汝はその答えを出すぞ？

「それこそ愚問だ、お前が今つけてもらっている名だ、存在するから私はここにいる」
「寧ろ変わり果てた名を持つものは汝だ」

否、我はすでに我であるこれは何も変わらぬ絶対である

「「余」が居ない、だから私も「我」も別物だと？ならばこちらが汝に問う、汝は誰だ」

我は無知無力のノスフェラトゥ、されど我は先導者である

「何も変わらないではないか、下らない問答だ　その時が来るまで寝させてもらう」

寝てろ、阿呆
汝の飯事は見飽きた、今度は汝が寝ていろ

（羊皮紙にサラサラと筆ペンを走らせている）
……民草よ、汝らは幸せであっただろうか

自由……自由とはなんぞや？

（こそこそと入ってきて机の上に黒い厚手のローブを置いて素早く去る）

ローブ……徨影か、後で礼をせねばならぬな（ローブを手に取り黒霧が包み消える）