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Semaver

浮かんでは消える御簾越しに 設営場所は風の向くまま。
円く囲われた中央に背の高い柱をもつ砂色の天幕。
横幕はしばしば紐で束ねられ東屋の様相を呈する。

床には様々な紋様が織り込まれた厚手の敷物が広がり、幾つも重なったクッションに身を預ければ深く沈み込むだろう。

窮屈ではないが広大でもない。
休息の傍らには白い湯気が立ちのぼるサモワール。



―― 何もないわ。アタシがいるだけ。

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