ここは庭園。私はイルミナ。
最近、この庭園で独りのんびりと過ごすことが多い……のだが。
今日はどうやら、他にもお客さんがいるらしい。

この庭園で人と出会うときは、大抵散歩中だ。
今回も例に漏れず、庭園に訪れた客人とばったり出くわした所だ……
庭園を眺め、その荒れた様子を残念そうに眺める幼い女の子。
見た目やその立ち居振る舞いからはどことなく、育ちのよさのような物が感じられる……気がする。

ともかく、出会って何もアクションを起こさないというのもなんなので、まずは挨拶から始める。
ああ、小さな子にはお菓子をあげるというのもいい、と聞いた。ならば……

「初めまして、えっと……飴玉、舐めますか？」

……これで良かったのだろうか。

え？（急に掛けられた声に驚き）
……ああ、いえ。見知らぬ方からの施しを受けないように、とかつて両親に教わっておりますので。

（胸に手を当てて深く一礼をし）
ともあれ初めまして。こちらの管理人の方……ですか？

おっと……それは失礼したッス。(取り出しかけた飴をしまい込みながら)
ああ、いえ。イルミナはただここをよく散歩しているだけの者ッス、あまり見ない顔だったものでついつい声を掛けてしまったッス。
えっと……ご迷惑でなければ、少しイルミナとお話しませんか？

ああ、そうなのですか。気になる場所ですからね、ここは。
立派な庭園ではあったと思われますが、手入れされなくなって久しい模様ですので……それ故に勿体ないな、と思ってしまったのです。

そうですね……（しばし思考）
……ええ、幸いにして時間はありますので。私めで宜しければ、多少の慰めとなりましょう。
ここで出会ったのも何かしらの縁、思し召しかもしれませんし。