「御用のお方はベルを鳴らしてください」
綺麗な文字で書かれた紙の上には、綺麗なベルが置かれている。
鳴らせば綺麗な音がして、暫く待てば二十歳前後の柔らかな白髪の店員が出て来るだろう。
「お待たせいたしました。本日はどのようなご用件ですか？」
柔らかなアルトで告げると、眼鏡の下の赤い宝石のような瞳がにっこりと細められる。
さぁ、本日は何をお求めですか？

＊＊＊

白兎が丁寧に接客してくれます。
えぇ、相手が初対面であろうと顔見知りであろうと皆さま大切なお客様なので、丁寧に。
店内に飾ってあるドレスや装飾品を見たい方もどうぞお気軽に。

濃さの違う紫の布を組み合わせ、胸元から裾に向けて花の刺繍が施されたドレスが飾られている。
マーメイドラインに華やかな花の刺繍。そして薄いシフォンの重ね布が動く度に軽やかに揺れて艶やかな花のように注目を集めるだろう。

わぁ……

（勇気を出して、ベルを鳴らし）

あ、あのね！コサージュが欲しいの…
新しい、紫の薔薇のコサージュ……作ってもらえる、かなぁ…？

（きょろきょろと店内を見回しながら）

おや、これは可愛らしいお客様ですね。
わたくしはシスと申します。宜しくお願い致します。
（紅茶と砂糖とミルク、焼き菓子を持って来て差出）
紫の薔薇のコサージュですね。大丈夫ですよ。
デザインはどういたしましょう？
可愛らしく纏めたり、華やかにビーズやレースを多用したり、大人っぽくシルクで作ることも出来ますよ？

遅くなってごめん、なさい……
迷ってて時間かかっちゃったけど
可愛らしいのが、いいな。イコがつけるものだから…
服に合うのが一番なの。

よろしくお願いしjます、シスにーに

（甘い甘いミルクティーをいただいて、ご注文
　ひらひらふわふわのロリータ服に似合う、紫の薔薇。）

いえ、じっくり見て頂ければ服達も喜びますので、どうぞお時間の許す限りじっくり見て下さい。
おや、わたくしがにーにですか。
これは可愛らしい妹が出来ましたね。
（クスリと笑って、紙に服に似合いそうなデザインのコサージュをいくつか簡単に書いた）
では、このようなデザインはいかがですか？
（服とセットだったかのようなデザイン、服との調和は崩さないが少し目立つデザイン、小さな薔薇を花束のように合わせたデザインを見せ）