街にある１つの工房。そこには様々な機械や薬品、よく分からない道具が乱雑に散らかっており、マッドサイエンティストが居てもおかしくない雰囲気があった。
　最も、居るのはマッドサイエンティストではなく異世界からの来訪者だが。

「やぁ、いらっしゃい。ここは未来永劫開店休業中の工廠よ。売るものも何もないトコロね」

　そういうのはスーツを着た若い女性。行儀悪く机に腰を乗せてよく分からない棒状の道具を手で遊んでいる。

「けどまぁ、せっかく来たんだし、お話でもしていかない？お茶……は無いけど、水は出るわ」

　おそらくはお茶が入っていた入れ物だろう。蓋を開けて中身が無いのを認める。