倉庫の更に奥まった一画。
そこにはバラックめいた、簡素な生活圏が形作られていた。

窓には端切れとシートを継ぎ接ぎしたカーテン。
廃材を組み合わせて造られたロフトスペース。
ハンモック、ランタン――窓から外をチラと見れば、
どうも貯水タンクを利用したシャワー設備まである。
存外、ここに棲む何者かはサバイバビリティが高いようだ。

そこでふと鼻につく化粧品の香り。
クローゼット風収納には女性物らしき衣服が収められている。

それとは対照的に壁に立て掛けてあるのは、
鎧の一種と思しき装備品。それに弓と矢。
そして美しい孤のフォルムを持ったやけに長大な曲剣。

なんだか奇妙に統一性を欠いたそこは、
冒険家パーティーの仮住まいのようにも思えた。

(仮住まいに凝ってもしゃーないし、とりまこんなもんでえいか)

……んあー、もーちょいドバーンって稼げるバイトねーかな。
いちお食ってけるけど、仕官先探してウロつくにはきちーっしょコレ。

(近場のカフェで買った"炭酸水で割った果汁"の入った
大きめのグラス片手にソファで雑誌を読んでいる)