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ギルドスレッド

潮騒の従者斡旋所

待合室

従者を探している場合、
貴方は此処で案内を待っても良い。

この部屋にRemoraがいる時、
この部屋は執務スペースとしても扱う。

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座って待つことのできる椅子が置いてある以上、待合室としての性質は十二分に保有していると言えます。対応? かようなことで文句を言われるのであれば契約等此方から願い下げです。お帰り下さいませ、何処の誰とも知れぬ水棲馬の骨。

(先ほどまで主候補だった者を退出させる)

全く。
エプロンドレス……? 呆れるほど欲望に忠実ですね。
私が着る服は私が選びます。
今日は気分では無かった、それだけのことです。
まあ、お待ち頂いても貴方の前で着る気は起きませんが。

(先ほどまで主候補だった者を見送る)

待合室から先に進みませんね。
(かつての候補が去ってから、暫し。)

(異様なまでに正確で乱れの無い、重い足音が。)
(待合室に続く扉の前に至り、止む。)
果たして、掃除とは誰がために行うものか。
主人が家なら主人でしょう。
ですが此処は潮騒の館。
私が掃除をするのは私の為です。

全てにおいて優先されるは私の環境の為。
掃除が為に私の環境が悪化するようなことはあってはならないのです。

……おや?
(こんこん。)
(扉の奥から漏れる重い気配とは裏腹に、実に控えめなノック音。)

(そうして、返答を待つような静寂が訪れ。)
どうぞ。

尤も、押し売りや強盗の類でしたらそのままお引き取りをば。
お顔を拝見すると掃除がし辛くなりますので。
(ゆっくりと開かれた扉から、黒衣と灰の香りが流れ出て。)
(ゆらゆらりとRemoraの前に歩み、止まれば。フードを脱ぎ。)

・・・生憎、と、そうする積り、は無し…申し訳、ない。
・・・此処で、人を雇えると、聞い、て来たのだが・・・。
(見上げる瞳は一瞬、珍しく大きく開かれるも……またいつもの通り下がって)

まあ、でしたらご挨拶を致しましょうか。
いらっしゃいませ、と。

ええ、雇えると思いますよ。
貴方様のお求めの条件にもよりますけれど。

さあ、中へお入りくださいませ。
(・・・何かしてしまったのだろうか。)
(相手の表情に銀色の瞳が、揺らぎ。)
(だがしかし、そんな中でも挨拶をされれば。)

・・・邪魔を、する・・・

(と、一礼して。促された先に。)
ええどうぞ、お好きなお席にお掛けくださいませ。
どうやら私、このまま貴方様のお顔を見上げていたら首が攣ってしまいますので。

(微笑を貼り付けたまま、自己都合は遠慮なく、冗談めかして)

従者をお探しとのことでしたが、御用命をお伺いしても?
旅のお供か、はたまたお屋敷でのお世話か。
、ああ、すまない・・・。

(確かに見下ろす様な格好では人にものを頼むには都合が悪い。)
(・・・相変わらず気の回らない、自身の至らなさに気落ちもし。)
(自身の都合でも不快にならない物言いをするRemoraに、いい人だと。)

(そうして比較的背の低い椅子を見つければ、腰を落ち着け。)

・・・山間の村、に・・・荷を、配達する様、頼まれて、な・・・。
少し、量が、多く、・・・俺、独りならば問題ない、が・・・

(最後は、歯切れも悪く言葉を切り。)
いえいえ、此方こそご案内が遅れてしまいまして。

配達と言えばいくらか簡単に聞こえる仕事ですが、
荷の大きさと量、それと配達地によってかなり難度が上下しますね。

して、お一人であれば問題ないところ従者をお求めになるというのは……
どなたか、他に護衛対象でもいらっしゃるので?
(Remoraの言葉に小さく頷き。)

内容は・・、医者、と薬、だ・・・。
目的地も、本来なら、2、3日も歩けば、足りる。
・・・ただ、今回は、少し危険な道を通らねば、ならず・・・。

(元より雄弁ではない中、更に話し難そうに。)
(申し訳なさそうな雰囲気が混ざり。)

・・・実は、村で、はやり病、が・・・な、。
元、より、余裕があるでもなし・・・急な、事で、報酬も・・・。

(提示した額は相場よりも大分安く。)
(駆け出しの冒険者が、1、2人やっと雇えるか如何かというもので。)
(寄った眉を隠すように、前髪を指で弄りながら)

従者というより、用心棒のお仕事ですね。
それこそ、かの「可能性の中心地」とやらで募集した方が早そうではありませんか?
危険手当も考えると、ご提示いただいた額だとお受けいたしかねます。

(声音は変わらずに、ゆっくりと指を降ろして)

……されど、このままお帰り頂くには心残りが出来てしまいます。

どうして、此処を訪ねたのですか?

来る日も来る日も候補者を追い返す、悪評高きこの場所を。


(銀糸を揺らし、赤と青が、候補を真っ直ぐに見据えていた)
・・・、遅、い。
、俺、は、あそこに集う者たち、の事を知らぬ。
金も、時間も無い中、で必要、なのは、信・・・己で、決められる者、だが。
それを知る、為に、声を掛け、る、にしても待つ、にしろ。

(時が惜しい中で其れは、余りに。)
(そうしてRemoraを見据え。)

酷く、人を選ぶ、派遣所があると聞い、たのを思い出し、てな。
幾人も幾人も、跳ね除け、門戸を閉じぬ・・・理由は知らぬ、が。
今、この状況、で、賭けるなら、ば、悪くない、と。
だが話して、分った、。
悪戯というには、貴女の言葉は・・・誠実過ぎる。人を観よう、と、している。
・・・俺は、賭けには、勝った。後は、貴女が決める。


だが、一つあるとすれば。そう。
荒事は、気に、するな・・・万一の時、は、荷と共に。逃げてくれて、いい。

(一寸。銀色が暗く、まるで肉食獣の様な光を宿し。)

・・・危険、は、俺が、排除する。
(聞こえる程度に大きな嘆息)

……呆れましたね。
破滅願望を抱えていらっしゃるなら、初めからお伝えいただければ助かりましたのに。
此処は賭博場ではありませんから、早々にお帰り願いましたのに。

ですが、確かに一部真実に至っておられます。
仰る通り、私は誠実ですとも。
少なくとも自分が得をする為ならば、ですが。

(口の端を上げて、目を閉じること約十秒)

不本意です。誠に不本意ではありますが……
貴方様の言葉を信じ、危険を排除いただけるならば危険手当は割引しましょう。

ご提示頂いた金額は現状着手金として。
成功報酬として別途村の方から名産品でも頂きましょう。
いえ、名産品が無いなら恩を量り売りして買い取って貰えば足ります。

以上が此方の対案ですが、ご理解いただけますか?
、確か、に、貴女の言う、通りだ…俺、は・・・。
いや、だからと、いえ。
依頼主に、不利益を被せるの、は・・・違う、からな・・・。
だからやはり、今日は、ついていた。

(悔やむでもなく、笑うでもなく淡々と。)
(何とも隠さないRemoraの言葉に、うむと頷き。)

ああ、理解した。、
・・・、向う、も、切羽詰った、状況、故な…。
事が、巧く運べば、多少の無理でも聞いてくれるだろう、さ・・・。

(そうして微かだが確かに、笑顔を浮かべ。)
(淀みのない口調で自身の名を告げ。)
了解しました、石動様。
それでは……此処に契約は成立です。
私はRemora。一時的にですが、貴方の従者となりましょう。

(正対し、襟を正せば、深く頭を垂れて)

ですがお忘れなきよう。
鮫の歯は強力ですが抜けやすい。
約定を違えれば、必然的に私もまた違えるということに。

(いつに間にか、澄ました表情は不敵な顔つきへと変わり)
(口を開き微笑めば、鋭角の歯が静かに光っていた)
いい顔で、わらう・・・肝に銘じ、て、おこう。
宜しく、頼む。Remora。

(契約の言葉を受け取れば、懐を探りながら立ち上がり。)

・・・これ、を。

(取り出したのは、一枚の紙。)
(ゆらりゆらりと扉に向かう最中に。)
(集合場所と時間だけが書かれた其れを執務机の上に置き。)

途中まで、は、馬を使うが・・・後は、徒歩、だ。
・・・強行軍に、なる。準備は、入念に、な。

…では、後、ほど。

(一度Remoraに視線をやった後、扉を開き。)
(外へと。)
ええ、暫しの間ごきげんようマスター。
願わくば、次回はもう少々楽な依頼と共にご来訪頂けますように。

(扉の向こうに消えゆく背を、しばらく見つめたまま)

徒歩。
徒歩か、徒歩ですか全く。
こういう時ばかりは海中が楽だったとも……ああ、気が重ければ荷物も重い。

(渡された用紙を手に取れば、額を抑えながら奥の部屋へと姿を消す)
(独白を残したまま)

足元を見ようにも、何処からが足元か。
魚類ゆえの浅学は、早く治さねば。
かくして、一つの旅が始まる。

その果てに、
彼女は従者たりえたか?
彼は主人たりえたか?

……それはまた、何処か別のお話。

(完)

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