PandoraPartyProject

ギルドスレッド

潮騒の従者斡旋所

弱魚強食

猫が得意ではない。

断じて苦手では無いけれど、腹の内が読めないあの目が何より私を不安にさせる。

だからまあ、猫は得意ではない。

得意でないものは触れないようにするのが一番なのだけれど。

そうさせてくれないから、やはり得意ではない。

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良いイワシが買えました。
鮮度が良いですし、カルパッチョにしても良いですね。
バターでソテーしても美味しいでしょうし、うふふ。
(ひた、と足を止めれば音で視線の主を確かめようと)

すべて撒いたと思いましたが、中々にしぶとい。
獲物を横から掻っ攫ったとは言え、ここまで付いてくるとは。
(一呼吸)

(間髪なく駆け出せば、風を切り曲がり角へと滑り込んで)
くっ、速い!
カーブでも振り切れませんか……全くもって不愉快です!
頭脳派の私に対して、こんな体力勝負を仕掛けようなど卑怯極まりな……

(一瞬浮遊感を覚えてから、自身が躓いたことを認識して)
……不覚!
(受け身を取るべくして手を伸ばせば、するりと手提げ鞄が腕から抜け落ちる)

(地面に手をつけば、勢いを殺せずそのままに前転)
(前転して前転)
(やがて仰向けの姿勢で慣性から解放された)
傷ひとつないとはさすが私、顔をとっさに守るとは流石私。
(顔を両手で抑えながら早口で言葉を紡ぎ)

そう、私は流石ですもの、この程度でへこたれませんわ!!
たとえ知性なき獣が相手だとしても! そう、血に飢えた獣が相手だとし……

あれ、鞄……?
(そう遠くないところで、アイツが鞄に頭を突っ込んでいるように見える)
(ちょっと頭を打ったかもしれない。見間違いでは?)
(目をこすってもう一度)

(やっぱり見間違いでした。鞄の側に座ってこっちを見ているだけです)
(何がにゃーんですか何が! それは私の鞄ですからさっさと離れなさい!!)
……ほら、しっし。去りなさい。
今だったら笑って許しますから。

許してあげると言ってるんです。
(徐々に鞄との距離を縮めるように、「猫撫で声」をあげて)
うーん、この知性なき獣ー。
別に私はじゃらしてるわけじゃないんです。
去りなさいと手を降ってるんです。
尻尾を振るんじゃありま、飛びかかろうとするのはやめなさい。
やめろ。

ほら一尾ならあげますから。
さっさと去りなさい。

大体このイワシだって私が正当な価格で購入したのに……先に目をつけてたと言わんばかりに追い回してくれやがりまして……。
全く、いい加減魚市場を狙うのはやめなさい。
店の方、だいぶ殺気立ってましたからいつ干物にされてもおかしくありませんよ。

……なんて、そんな言葉をかけてあげたところで、意味がわかってないのでしょうけれどね。
なんですか尻尾なんて立てて。やる気ですか? 脅しには屈しませんよ。
……行きましたか。勝利とて虚しいものです。

ああ、もう! 大変な道草を食ってしまいました。さっさと帰らなければ。
またいつあの黒き獣が襲ってくるかわかったものではありませんもの。
もう今日は家に引きこもって頁でも捲りま……
(鼠を咥えて戻ってきた相手を見つめて)

どうして私の道の前にそういうもの置くんでしょうかね……次は私だというメッセージですか?
イワシじゃ飽き足らず、鮫に手を出そうと、そういうことですか。
しっし。

これ以上ついてきても何もあげませんからね。
私とて心苦しいのですが次は発砲も辞しません。

そうです、そこで大人しく座っていればいいのです。

そうです。

そうです、そうそう。
振り返るたびに同じポーズ。
されど変わらぬ私との距離。
これは一体。

……止まって、振り向く。
……歩き出して、止まって、振り向く。
……歩き出すと見せかけてそのまま振り向く!
(目が合う)
(思わず目を閉じる)

間違いなく今歩き出そうとしていましたね、こちらへ。
うーん……館まであと少し、ここは後ろを向きながら歩くというヒレも……。
……考えていたら、黙って横を通り過ぎて行きましたね。
まあ、威嚇を前に恐れをなしたと考えるべきでしょう。
所詮は獣、本能的に強い者に従うべきと思い出したのでしょうね。
なに、私も余計な労力は使わないに越したことはありませんもの。

さ、帰りましょうか。
私が何より落ち着ける、潮騒の館へと。
緩やかな登り道、潮風でやや朽ちた柵、そしてこの向こうに覗けるは、ああ待ち遠しき我が館なりと。
(かくして、従者と、かの『黒き獣』の奇妙な共同生活が始まるのだけれど、それはまた別のお話)

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